2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロリルアミノペプチダーゼが触媒するジペプチド合成反応機構の解明
Project/Area Number |
22710231
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
山本 幸弘 成蹊大学, 理工学部, 助教 (00549727)
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Keywords | プロリルアミノペプチダーゼ / プロリン / ジペプチド / ジケトピペラジン / プロリルヒドロキシプロリン / アミノリシス / 放線菌 / 合成 |
Research Abstract |
これまでの研究によって、Streptomyces thermoluteus subsp. fuscus strain NBRC14270由来プロリルアミノペプチダーゼ(PAP)において、活性中心のセリン残基をシステインに改変することで、加水分解活性を抑え、効率よくペプチドを合成できることを明らかにした。そのなかで、酵素反応産物としては例のないCyclo[ProPro]が生成されること、また一方で、近年生理活性が注目されているProlyl-hydroxyproline(Pro-Hyp)の合成が困難であることが示された。そこで以下の2点に注目し、研究を行った。 1.Cyclo[ProPro]の合成 基質としてPro-OBzl、-OMe、-NH_2を用い、野生型、Ser/Cys型の両酵素を用い、反応特性を調べた。その結果、野生型ではCyclo[ProPro]の合成率はpHの上昇と共に増加することがわかり、さらに基質としてPro-OBzlを用いた時、pH9以上のアルカリ域下、合成率40%を得ることができた。一方、Ser/Cys改変型では至適pHは中性域にあり、合成率は野生型と同様40%を得た。また、どちらの酵素でも基質に対する親和性は同じであった(-OBzl>-OMe>-NH2)。これらの結果より、Cyclo[ProPro]は基質が触媒ポケットにトラップされたのちpHに依存せず、安定な構造を形成すべく化学的に生成されることが示唆された。 2.Pro-Hypの合成 当該研究グループにおいて取得済みの常温菌由来PAP(S.aureofaciens TH-3)を使い、Pro-Hyp合成に特化した反応系の確立を試みた。まず反応pHを検討したところ、アルカリ領域にて合成率が高くなることがわかり、次いで緩衝液濃度や反応温度、基質の種類を検討した結果、50mM Pro-NH_2、2M Hyp-H、10μg PAP、480mM borate(pH11)、40℃、3hの反応条件にて、30%の合成率を得ることが出来た。ハイドロリシスとアミノリシスにおける至適条件は異なり、pHや反応温度をコントロールすることでアミノリシスを亢進させることが出来た。 以上、本研究により、これまで合成例のない生理活性ペプチドの合成法を確立した.
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Research Products
(1 results)