2010 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯域のミコール酸含有放線菌群の多様性解明とその保全
Project/Area Number |
22710234
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
山村 英樹 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (70516939)
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Keywords | 遺伝資源 / 亜熱帯 / ミコール酸含有菌 / 系統解析 / 選択分離法 / 16S rRNA遺伝子 / 微生物多様性 / 抗生物質耐性 |
Research Abstract |
本研究は、生物多様性が豊かな亜熱帯域から天然のミコール酸含有放線菌群を選択分離することで生物多様性を解明し、菌株の保全を行う事を目的としている。22年度は亜熱帯域として沖縄県石垣島および西表島において森林とサトウキビ畑から各々20試料の採取を行った。ミコール酸含有放線菌であるNocardia属やMycobacterium属については申請者らが開発したショ糖密度勾配遠心法とオリーブ油-SDS法を用いて分離を行った。なお、分離株の同定には16SrDNAの塩基配列(>1300bp)を用いて相同性検索を行った。その結果、Nocardia aobensis、Nocardia araoensis、Nocardia asteroides、Nocardia cyriacigeorgicaなど計12種を見出すことができた。また、Mycobacterium属についてはMycobacterium neworleansenseとMycobacterium peregrinumの2種のみが検出された。一方で、未だ選択分離法が設定されていないRhodococcus属については抗生物質耐性とアルカリ-界面活性剤耐性を用いた選択分離法の構築を試みた。まず、Rhodococcus属既知種12株を用いて抗生物質耐性試験を行ったところ、ノボビオシン(10mg/L)とフラジオマイシン(20mg/L)を併用した場合、全ての既知種が耐性を示した。一方、土壌中の主要放線菌であるStreptomyces属の既知種21種では僅か5%しか耐性を示さなかったため、選択剤としての有効性を検証する事が出来た。次いで、アルカリ-界面活性剤耐性との組み合わせることで、土壌試料からRhodococcsu属の出現割合を3割程度まで上昇させることができた。平成23年度については、引き続きNocardia属とMycobacterium属の分離を試み、新たにRhodococcus属の選択分離法を適用していく予定である。新種と推定される菌株が数株存在していたので、分類学的な詳細な研究を行い、新種の提案を行う予定である。なお、本研究で収集した分離株は現在、山梨大学にて-80℃にて保全を行っている。
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