2010 Fiscal Year Annual Research Report
行動情報に基づく、絶滅危惧種ウミガメ類の混獲危険性評価手法の確立
Project/Area Number |
22710236
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥山 隼一 京都大学, 情報学研究科, 助教 (80452316)
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Keywords | バイオロギング / 混獲 / 行動圏 / 摂餌生態 / 回帰行動 / ウミガメ |
Research Abstract |
本年度は、アオウミガメ亜成体を対象とし、沖縄県八重山諸島における混獲可能性の高い地域を特定することを目的に研究を実施した。実験では、アオウミガメ亜成体の行動圏、または摂餌場所を明らかにするために、アオウミガメ4個体の頭部に加速度データロガー、背甲部にGPS-ARGOS送信機、加速度・速度・深度データロガーを装着して、行動追跡・記録実験を行った。実験の結果、1日における摂餌時間帯に朝・昼・夕3回のピークが見られること、摂餌は1m水深の場所でおこなっていることが明らかとなった。このことから、アオウミガメ亜成体は、海草類を主に摂餌し、また定期的に海草藻場を訪れていることが示唆された。 八重山諸島で捕獲し、同地点にて放流した3個体の放流後の移動パターンには個体差があり、八重山諸島周辺海域の一定の地点に留まる個体もいれば、九州南部や台湾方面へ移動する個体も見られた。しかし、移動時以外の滞在水深は浅海域(30m以浅)に限定された。3個体に関しては固定された行動圏が見られる前に、その信号が途絶えたため、以後追跡はできなかった。捕獲場所とは異なる地点で放流した1個体に関しては、放流後しばらく迷走の後、もとの生息域へ回帰し、その後非常に狭い行動圏を有することが明らかとなった。以上のことから、30m以浅の沿岸域はアオウミガメ亜成体の生息域として非常に重要であり、さらに海草藻場周辺海域はその摂餌場として機能していることから、さらの混獲可能性が高いことが示唆された。
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Research Products
(8 results)