2011 Fiscal Year Annual Research Report
行動情報に基づく、絶滅危惧種ウミガメ類の混獲危険性評価手法の確立
Project/Area Number |
22710236
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥山 隼一 京都大学, 情報学研究科, 助教 (80452316)
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Keywords | 保全生物学 / 水産学 / 行動学 / 生態学 / バイオロギング |
Research Abstract |
漁業による海洋生物の偶発的な"混獲"は現在、世界的な社会問題に発展している。絶滅が危惧されるウミガメ類においても、漁業による混獲が減少の要因のひとつとされている。現在までに、漁具の改良という観点から混獲防止への取り組み、研究が行われているが、ウミガメ類の生態学的な知見を集積して、ウミガメ生息域と漁場との住み分けを図るといったアプローチは、これまでなされてこなかった。これは、ウミガメを含む海洋動物の生態は、直接観察できないため、行動生態・生息域に関する知見が希薄であるためである。 本研究では、近年測位精度が高まりつつあるバイオロギング手法を用いて、八重山諸島周辺海域におけるウミガメ類の生息域・行動圏を高精度で把握した。次いで、これら範囲と小型定置網設置場所との重複状況を調べ、混獲可能性や漁場との住み分けの可能性について検討した。 本研究の結果、八重山諸島に生息するアオウミガメは、多くの小型定置網が設置されている浅海域(<3m)に、海草の摂餌のために来遊していることが明らかとなった。また、その来遊時間帯は潮汐に関係なく朝6時と夕刻18時周辺に集中していた。また、個々の個体が利用する行動圏は非常に限られたものであり、ある一つの摂餌場所(海草藻場)はある特定の個体群が利用していることが示唆された。今なお、八重山諸島における小型定置網設置区域は、アオウミガメの生息域と重複しているが、網口に自動開閉装置を取り付けるなどして、アオウミガメが集中的に来遊する時間帯(朝6時と夕刻18時)には網口を塞ぐなどの手段により混獲を回避できるかもしれない。
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Research Products
(3 results)