2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710242
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水谷 裕佳 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 博士研究員 (90568453)
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Keywords | 先住民 / 米国 / 都市 |
Research Abstract |
本年度は、米国アラスカ州アンカレジ市、さらにカリフォルニア州サンフランシスコ市およびその近郊において、米国の都市先住民に関する現地調査を行った。アンカレジ市では、文化センター、医療センター、アラスカ大学アンカレジ校、アンカレジ博物館、スミソニアン研究所分館等において、都市先住民の文化と社会に関する資料を収集すると共に、聞き取り調査を行った。サンフランシスコ市とその近郊では、都市先住民の活動拠点となるセンター、医療センター、先住民の若者に雇用を提供する非営利財団、公立図書館内の先住民セクション、博物館、先住民児童向けの幼稚園、先住民間での養子縁組を支援する非営利財団、カリフォルニア大学バークレー校等において、同じく資料収集と聞き取り調査を行った。また、都市先住民に関する様々な事例を、文献購読を通じて学んだ。その結果、米国における都市先住民が共通して抱える問題と、各都市における特有の事情がより明確になった。例えば、先住民の人々が直面する貧困の問題は、米国の都市先住民に共通して見受けられる。しかしながら、その結果は、都市によって異なった形で表れる。例えば、アンカレジ市では安価な食材に偏った食生活による健康状態の悪化が見られ、サンフランシスコ市では就職の面接に行くための交通費が捻出できず無職の期間が長引く、といった形で、貧困が都市先住民の人々の生活に影響を及ぼしている状況が見受けられた。本年度の調査結果を踏まえ、来年度はより研究が進展しやすい地域への調査地の変更も視野に入れつつ、現地調査や文献調査を通じて、都市に暮らす先住民の現状と歴史的変遷をさらに追及したい。
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