2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710242
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水谷 裕佳 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 博士研究員 (90568453)
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Keywords | 先住民 / 都市 / 公共サービス / コミュニティー / アメリカ合衆国 / 非営利団体 / 移住 |
Research Abstract |
今年度は、サンフランシスコ地域に居住する都市先住民に関する1960年代から70年代を中心とした時期の一次資料を収集した。当該年度の交付申請書提出時には、サンフランシスコ地域に関する調査の他に、オレゴン州ポートランド市での調査を予定していた。しかしながら、カリフォルニア大学バークレー校バンクロフト特別図書館収蔵のサンフランシスコ地域の都市先住民に関する一次資料のうち、新たに閲覧できるようになったものの量が段ボール7箱分以上に及ぶことが分かった。これらの資料は予約制ではあれ自由に閲覧できる状況にあったが、貸し出しや展示等で長期間使用されることも多く、常に利用できるとは限らない。そこで、本年度はポートランドでの調査を見送り、サンフランシスコ地域に関する資料の収集に絞って調査を行うべく計画を変更した。具体的には8月半ばから9月半ばにかけて、およそ1ヵ月に渡ってカリフォルニアに滞在し、資料の中から本研究に必要なものを抽出し、複写する作業を行った。結果として昨年度には得ることのできなかった資料を多数入手することに成功し、今後どのような点に着目しながら調査を行うかが明確になると共に、本研究の収集資料を1つの成果物としてまとめあげるにあたっての道筋を見出すことができた。さらに、サンフランシスコ地域に位置するリッチモンド市において、1990年代まで先住民ラグーナ・プエブロの集落が位置した場所を当時の住民と訪問し、聞き取り調査と集落解散後の同地域の現状の記録を行った。これらの作業を通じて、米国の都市先住民の歴史的経験と現状に関して、サンフランシスコ地域の事例に着目しながら明らかにしようと試みた。現地調査の終了後は、資料の整理と追加資料の検討を行った。加えて、成果の一端は11月のAmerican Society for Ethnohistory(於米国ロサンゼルス)において発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カリフォルニア大学バークレー校バンクロフト特別図書館における調査によって、年度開始時に想像していたよりもかなり多くの資料を入手することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究に関して、本年度に得られたサンフランシスコ地域にかんする資料を主軸としながら補足資料を収集する形で進めるのか、それとも比較調査を実施するために他の都市で調査を進めるのか、新年度開始までに熟考したい。本研究応募時には複数の都市における比較調査を想定していた。しかしながら、昨年度および今年度に得られた資料から判断すると、サンフランシスコ地域の事例に限定した調査を継続した方が結果的に深い議論が展開できる可能性が指摘できる。
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