2013 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦期のアメリカにおける文化外交政策と社会運動の相関―音楽を中心に
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22710244
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
舘 美貴子 千葉大学, 文学部, 准教授 (60376580)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | トランスナショナルな文化 変容の解析 / 国際情報交換(米国) |
Research Abstract |
本研究は、冷戦期のアメリカ合衆国において、音楽が文化外交政策および社会運動の中で果たした役割について比較検討し、その関係を探ることにある。文化外交、社会運動の担い手となった音楽家の経験や思想を解読し、彼らが音楽を通してどのようなアメリカ像を発信したのか、そしてそれが国内外の受け手にどのように受容されたのかを解明することにより、音楽に付加された意味が交渉される様相を明らかにすることを目的としている。今年度に入ってからは、これまでに行ってきた文献調査、資料収集、理論の整理を統合する作業を進めながら、調査を続行し、研究成果を発表するための準備を行った。具体的には、1)アメリカ文化外交史における音楽の役割、2)アメリカ社会運動における音楽の役割、3)文化外交、社会運動に携わったアメリカ人音楽家の思想(アメリカ理念、世界観、音楽の有効性について)、4)来日したアメリカ人音楽家の日本における受容について、それらを統合するような形で理論化を行うことが目的であるが、1)と2)に関しては、文献の講読と資料の分析を進めた結果、文化外交と社会運動双方で音楽が果たした役割について、分析と考察を深めることができた。 また、3)4)に関しては、さらに資料収集を行う必要があるが、海外で活動を行った個別のアメリカ人音楽家の活動内容や思想と、日本での活動を行ったアメリカ 人音楽家に関する報道と評価について、これまでに収集した資料や文献の分析を進めることができ、また実績報告として学術誌への論文掲載も実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目標としている、冷戦期における文化外交政策と社会運動のそれぞれにおける音楽の役割とその相関について、文献の講読や資料の分析を進めることで考察が深まり、理論化が進んできていることから。研究再開後にはそれを統合させて一定の結論へと達することが見込まれるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの分析と考察を統合させて、本研究の目的である、冷戦期における文化外交政策と社会運動のそれぞれにおける音楽の役割について理論を確立し、さらにその比較検討をすることにより相関を探りたい。文化外交、社会運動に関わった音楽家の思想に関する一次資料に関しては、さらに日米の図書館などでの入手が必要なものもあり、新たな資料も得ながら分析を進め、結論を導きだせるようにしたい。また、アメリカ研究や日本研究、音楽研究の専門家との意見交換を行う予定であり、学会活動と関連分野の研究者との意見交換についてもこれまでに引き続き行いたいと考えている。研究成果を論文の形でまとめることを目標として、特に今後は執筆や口頭発表など発信に力を入れたい。
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