2011 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける創造的実践知としての技術文化複合とその内発的発展
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22710246
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 守恵 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (10402752)
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Keywords | ものつくり / 技術分化複合 / アフリカ / 創造性 / 内発的 / 発展 / 創造的実践知 / 土器 |
Research Abstract |
この研究は、現代アフリカにいきる人びとが実践している「ものをつくり・つかう方法(=技術)」を優れて創造的な営みととらえ、それを「技術文化複合(ものをつくり、つかうための自然環境や社会的な環境との関わりとそれに関わる信念や価値観まで含めた複合体)」として検討したうえで、当該社会における「技術文化複合」の全体像と特質をあきらかにし、現代アフリ社会の多様な発展のあり方と同時にその内発的な発展の可能性を探求することを目指す。この研究では、技術は社会に埋め込まれた文化的な行為であるという見方にたち、「技術文化複合」という概念を設定して、以下の3点について研究をすすめる。 (1)創造的実践知としてのものつくりの実態把握 (2)「技術文化複合」としてのアフリカのものつくりを検討 (3)内発的発展の契機としての「技術文化複合」についての検討 平成23年度は、前半に、国内学会での発表を通じてこれまでの現地調査の成果を発信した(下記、13.研究発表)。その後実施した現地調査では、おもに創造的実践や内発的発展の契機に関わることを念頭におきつつ、現地の人びととともに植物繊維や染織に関わるワークショップをおこなった。その後、ドイツ、フロベニウス研究所を訪問し、1950~1960年代のエチオピア西南部における物質文化に関わる画像や資料収集、文献検索等をおこなった。過去50~60年間における物質文化や技術の変化と一貫性に関してあらたな研究の方向性を模索する貴重な機会を得た。平成23年度末には、国際フォーラム(京都大学アフリカ地域研究資料センター主催)を企画し、ジェンダーや歴史的な変化という視点をふまえながら、技術の多様性や創造性が対象社会において人びとの生業活動や社会的な行為における差異として表出する場面について議論をふかめた。これまでの成果をふまえながら、英文・仏文学術雑誌に論文を投稿し受理、掲載された(下記、13.研究発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に当初記載した計画以上に調査研究活動が進展している。論文を通じた成果発表については、当初予定していたものに加えて、平成22年度におこなったフランスでのワークショップでの成果発表をフランス語で公刊することが決定し、研究活動が英語圏以外の研究者にも発信できた。技術文化に関する研究はフランス人研究者によってユニークな研究がおこなわれてきたので、その点において仏文での成果発表は非常に意味のあるものと考えている。また、1950年代からエチオピア西南部を調査研究してきたフロベニウス研究所(ドイツ)への訪問が急遽実現し、物質文化に関する資料にアクセスできたことによって、当初の計画以上に研究を進展させることができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、引き続き研究を遂行することを考えている。当初予定していた以上に研究が進展していることにより、これまでの成果を論集として発行する予定である。問題点とまではいかないが、現地調査では、現場の状況や現地の人びとの生活を最優先することに留意しつつ、内発的発展の契機や創造的実践についての検証をすすめていきたいとかんがえている。
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Research Products
(9 results)