2010 Fiscal Year Annual Research Report
アマゾン土地なし農民コミュニティによる生産活動の場所としての森林の持続的利用
Project/Area Number |
22710250
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石丸 香苗 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任研究員 (00572471)
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Keywords | 環境調和型農林業 / 生態系修復・整備 / ヒューマン・セキュリティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、アマゾンの二次林に不法占拠をするブラジル土地なし農民コミュニティを対象にして、占拠した場の森林資源や農業生産に利用される土地が最貧困層の人々の生活基盤にどう関与するかを明らかにすることである。調査対象として、占有権を得ていない侵入後4年のコロニーと占有権を既得後約15年が経過したコロニーの二つを対象に調査を行った。 両コロニーで利用されていた森林資源としては、建材、燃料(炭原料、薪)および果実、薬草等の植物資源が確認され、特に燃料は自家消費による支出減および炭の販売収入として家計に寄与しており、自然の果実については経済的評価を出来なかったものの調査対象世帯の約半数が利用していた。 自家消費に供される農業作物からのカロリーは、占有権を既得のコロニーでは約2900kcalであり一日の必要消費カロリーをほぼ満たしていた一方、占有権を得ていないコロニーでは約1200kcalにすぎなかった。また、占有権を得たコロニーと得ていないコロニーでは農業生産物の販売収入の差が8倍であり、定住後の年数が長く生産システムが発達したコロニーでは収入の約1/4を占めており生計に寄与していると評価可能であった。両コロニーの収入の差は、支出面では教育・農業への投資に反映されると同時に、占有権既得のコロニーでは必須生計からの余剰金によって井戸や加工物の生産設備等の個人財産を増加させていると考えられ、その投資が世帯の収入増に関与していることが示唆された。
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