2010 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア産アナツバメ類の持続可能性に関する景観生態学的研究
Project/Area Number |
22710251
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 素子 京都大学, 東南アジア研究所, 特定研究員(GCOE) (50456828)
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Keywords | 景観生態 / 食性解析 / 安定同位体 / 資源利用 |
Research Abstract |
食用ツバメの巣としての過剰採集により,アナツバメ類の個体群は激減した.特にマレーシア・サラワク州の景観は,近年急激にアブラヤシやアカシア植林地へと開発が進んでおり,アナツバメ類の採餌環境は悪化している.本研究では,東南アジア地域の重要な産業基盤であるアナツバメ類の巣の持続的な利用を目的として,その採餌環境の違いによる個体群特性への影響を明らかにする.特に,都市部・泥炭湿地域・田園地帯・森林地帯の個体群において,採餌する餌の構成比の違い,餌を採取した土地利用環境の違いと,巣の生産速度との関係を明らかにする.それにより,個体群特性に影響を与える土地利用形態を明らかにするだけでなく,アナツバメ類の持続可能性を高めるための望ましい景観のありかたについて,提案を行う. 本研究を行うことで,東南アジア地域の重要な産業基盤であるアナツバメ類の持続可能性を,周辺の土地利用から評価することができる.この研究結果は,自然・養殖の産物であるアナツバメ類の巣と,都市化・プランテーション造成・農業などの土地利用との妥協点を探る最初の科学的知見となる.これは,景観全体を利用するその他の生物,例えばミツバチ,シカ・イノシシなどの狩猟鳥獣などにも応用できる可能性を秘めている. 平成22年度には、マレーシア・サラワク州のクチン周辺において,都市・泥炭湿地域の調査コロニー(ツバメ養殖ハウス)の選定を行い,8つの養殖ハウスでオーナーに調査の許可を得て排泄物のサンプリングおよび周辺環境での昆虫のサンプリングを行った。採取した排泄物および昆虫のサンプルは60度で乾燥および99%エタノール液浸標本として保存した。
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