2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710252
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 和久 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (40420434)
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Keywords | コレラ / タイ / アウトブレイク / LAMP / 国境 / ミャンマー / MLVA / サーベイランス |
Research Abstract |
モデル地域に指定したタイ王国Tak県Phop Phra郡は平成22年度もコレラが発生し、我々のコレラ流行制御を試みることになった。初発感染者の連絡をPhop Phra郡保健所より受け、直ちに介入し、患者家族及び周辺住人等から直腸スワブ検体を採取し、LAMP法を用いてコレラ菌(コレラ毒素遺伝子)に対する検査を実施した。5日間で計619名を検査し、48名の疑似感染者を特定した。この結果は以後に判明した病院の培養法による検査結果とほぼ一致していた(43検体よりコレラ菌01稲葉型株が分離されていた)。随時LAMP法の結果は、現地の保健当局者等に通報し、2次感染を防ぐための抗菌薬投与等の迅速対応に活用した。結果的にコレラ感染者の発生は我々の介入後、約2週間は確認されなかったが、その後再び、徐々に感染者が確認され、翌月(8月)の感染者は57名(病院患者28名、野外調査で確認された保菌者は29名)に上った。現地保健所のコレラ感染者数の集計表より、我々の介入後の時期をほぼ底辺とし、U字型にコレラ患者及び感染者数の減少が認められた事から、一定の効果があったと考えられる。しかし、完全に阻止できなかった理由としては、初発患者が入院して現地の病院がコレラと診断するまでに、6日間を要し、我々の介入前には既に26名の感染者が確認され、被害地域が拡大してしまっていた事、対象地域の住民を漏れなく調査できなかった事が理由として挙げられる。一時、現地の保健所職員が用意したミャンマー人向けの娯楽番組の放映が対象住人を集める上で有効であった事から、この手段を次年度では導入し、再度我々のコレラ流行制御を実践したいと考えている。 Phop Phra郡で単離したコレラ菌稲葉型株をMLVA法等により解析した結果、タイ国内の他の感染地域由来の株と異なる型を示し、また、3年間同型の株により流行が引き起こされていた。固有の感染源が存在する可能性を示し、非流行期のモニタリングも含めた調査が重要であると考えている。
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Research Products
(5 results)