2011 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者福祉施設男性ケアワーカーのキャリア形成と影響要因に関する縦断的調査研究
Project/Area Number |
22710267
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
澤田 有希子 関西大学, 人間健康学部, 助教 (60425098)
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Keywords | 男性ケアワーカー / ソーシャルサポート / キャリア支援 / 役割モデル / 専門職教育 / 離転職 / 質的調査 / 縦断的研究 |
Research Abstract |
福祉現場においては、介護職の増加や離職問題,介護専門職育成の課題に対する議論の高まりを契機に,介護労働者のキャリアパスとキャリア形成の支援やその課題を明らかにする必要性が高まっている。そこで、本研究では、高齢者福祉施設で働く男性職員(介護職および相談職)のキャリア発達過程を明らかにし、キャリア形成にどのような要因が影響を与えているのかを明らかにし、男性職員の継続的な就労を可能とするキャリア支援のあり方を模索することを目的とした。 本年度は、年度計画に基づき、調査協力への了解が得られたインタビューイーを訪問し、1~3時間程度の半構造化面接調査を実施した。調査期間はH23年4月~H24年3月であった。H16~17年度に調査を行った24名のうち、調査協力の了解が取れたインタビューイーは19名であり、5名は疾病や所在不明等の事情により、調査不可という結果になった。19名の内、17名は以前と同様の法人に留まり継続雇用された職員であるが、2名は離転職や独立を経験した男性職員である。福祉現場における離転職率の高さを考慮するならば、離転職者のキャリア形成と意識に注目することには大きな意義がある。 調査に際しては、キャリア形成への影響要因として、福祉職としての価値と理念、職場組織におけるソーシャルサポート、キャリア支援、スーパーバイザー、役割モデル、家族や趣味などに焦点を当てた質問を実施した。施設介護職のキャリアとしては、資格取得や他職種の経験(介護員⇒相談員等)や他部署の経験などにより自己成長させるキャリア形成が多く見られた一方で、組織内で個人のキャリア意向の確認がほとんど実施されないことが明らかになった。また、メンターの存在がある人は比較的安定した職務意識を持ち、キャリア形成にも満足している傾向が見られた。さらには、離転職も休職もしていない人に、高いストレス経験をした人(サバイバー)が多いことも特徴的であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、インタビューイーの所在確認と調査協力依頼をすべて終え、インタビュー調査の実施を終了している。現在はデータをテキスト化し、内容の整理と確認を行っている段階である。今後はこれらのデータを基に、内容分析を実施していく予定であり、ほぼ計画通りに進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画通りに研究を進めていく予定である。整理・確認されたテキストデータは、内容分析法およびグラウンデッド・セオリー法を参考に、分析する予定である。質的データ分析に際しては、客観的な視点が必要になることが単独研究の課題であるが、コーディング作業やラベリングなどにおいては、必要に応じて研究協力者に分析協力を依頼するなどして、分析を進めていく予定である。本年度末を目標に、データ分析結果を報告書にまとめ、論文の執筆を行う予定である。
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