2010 Fiscal Year Annual Research Report
規範や心を正当に扱うための多元論的自然主義モデルの構築
Project/Area Number |
22720007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井頭 昌彦 大阪大学, 人間科学研究科, 特任助教 (70533321)
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Keywords | 自然主義 |
Research Abstract |
本年度は、現代形而上学の領域を主たる対象として、多元論的な存在論的立場のサーベイを行うとともに、諸立場の特徴を分類・整理する作業に取り組んだ。その際、カルナップの見解に起源を持つものであるか否かを分類軸の一つとして、整理作業を行った(現代において多元論的な存在論的立場を支持するものの多くがカルナップの見解ないし道具立てをその起源として参照している)。 また、これとあわせて、心的概念を正当に取り扱うためのモデルの構築に向けた取り組みの一貫として、痛み概念に関する哲学的分析のサーベイもおこなった上で、疼痛医療や認知神経科学・脳科学の研究者と議論をおこなうことで、目指すべき多元論モデルの構築を進めた。その結果、痛み概念の学習プロセスを考慮した「痛みの言語ゲームの階層的発達モデル」の構想を得るに至った。 さらに、ロボティクスの研究者との議論を通して、「痛みを感じられるロボット」を作るためには、痛みの機能を模倣したセンサシステムを組み込むことに加えて、エージェントとしての認定を惹起するような仕組みをも作り込むことが重要になる、という仮説を(この試み全体は、仮説的モデルに基づいて実機を作成し、それを人間とインタラクションさせることによって仮説の検証を行う、という「構成論的アプローチ」の観点から有益な洞察をもたらすことが期待される)。 次年度は、本年度の成果として得られたモデルと仮説を軸に、更なる精緻化を進めていく。
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Research Products
(8 results)