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2011 Fiscal Year Annual Research Report

「幸福論」としてのアリストテレス倫理学の統一的研究

Research Project

Project/Area Number 22720008
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

茶谷 直人  神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (00379330)

Keywordsアリストテレス / 幸福 / 西洋倫理学
Research Abstract

本研究は、アリストテレスにおける一連の倫理学的探究を「幸福(eudaimonia)論の諸相」として統一的に捉えつつ、(a)理論としての幸福論の内実解明、および(b)個別理論をめぐる解釈上の問題の考察を、並行的・相補的に展開するものである。この主旨のもと、当該年度はとりわけ、幸福の定義項(「<アレテー(卓越性)>に即した<魂>の活動」)を構成する基礎概念である「魂」と「アレテー」の概念について、古代ギリシア哲学におけるそれらの内実理解という広い視点をも見据えながら、アリストテレス哲学における両概念の内実を探求する作業を展開した。また、アリストテレス倫理学における個別理論に関しては、フィリア(愛)論における三種の愛の異同と幸福論との関連についての考察を柱としつつ、広範なテクスト分析を進めた。
以下に、当該年度中に発表した業績を略述しておく。(1)アリストテレス魂論の解釈上、最大の焦点の一つであるいわゆる心身問題について、近年提示されたチャールズの心物不可分説に注目しながら、近年の解釈動向の整理と批判的検討を行った。(2)ソクラテス哲学における主要アレテーの一つである「敬虔」を主題とするプラトン『エウテュプロン』について、対話相手(エウテュプロン)の哲学的立場に注目しながらテクスト分析を行った。(3)アリストテレス善論・幸福論を構成する基礎的議論として研究遂行者が前年度以来重視してきた「善の帰一的構造」の理論を、学際的営みである生命倫理学の学的統一性を考える上での一つの視座を提示するものとして示した。(なお、上記のフィリア論についての論考を現在作成中であり、次年度に何らかの仕方で発表予定であることを付記しておく。)

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

アリストテレスの幸福論における中核諸概念(幸福、魂、アレテー、帰一性など)、および関連する解釈上の諸問題に関して、前年度に引き続き本年度においても広範な研究遂行が叶ったため。またその所産として、一定の研究業績(論文2点、学会口頭発表1件)を本年度中に公にすることができたため。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、これまでの基礎的かつ広範なテクスト分析、解釈論争の考察を引き続き行いつつも、最終年度であることに鑑み、研究課題のもとで個別的探究を俯瞰的に位置づけることにとりわけ留意して研究を遂行したい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] アリストテレス心身論における心物相即説(psycho-physical interpretation)をめぐって2012

    • Author(s)
      茶谷直人
    • Journal Title

      神戸大学文学部紀要

      Volume: 第39号 Pages: 1-17

  • [Journal Article] 『エウテュプロン』におけるエウテュプロン2011

    • Author(s)
      茶谷直人
    • Journal Title

      愛知(神戸大学哲学懇話会編)

      Volume: 第23号 Pages: 38-53

  • [Presentation] Aristotle and the Unity of Bio-Medical Ethics2011

    • Author(s)
      Naoto Chatani
    • Organizer
      The 6th International Conference on Applied Ethics
    • Place of Presentation
      北海道大学
    • Year and Date
      2011-10-27

URL: 

Published: 2013-06-26  

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