2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720010
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
伊原木 大祐 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (30511654)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 現象学 / 宗教哲学 / フランス哲学 |
Research Abstract |
当該年度の研究では、前年度までに得られた研究成果をもとに、次期の研究課題にうまく繋がってゆくような発展的成果が得られた。とりわけ、ミシェル・アンリによる「生の現象学」思想の背景にある神学的発想の残滓を精査することによって、そもそもこの方法論に依拠した「悪の問題」に対するアプローチ自体がきわめてグノーシス的な二元論の様相を帯びざるをえないという点を確認できたことは、本研究全体から引き出しうる大きな成果の一つである。前年度末よりアンリ研究と並行して、ジョルジュ・バタイユの内的経験論を元にした悪論の研究に着手してきたが、間にレヴィナスを介在させて複数の思想家たちを考慮するという方向に研究を推し進めることができた。その過程であらためて20世紀フランス哲学におけるグノーシス的二元論のテーマ系に取り組む必要が生じている。これに関する当該年度の具体的な成果は、以下のとおりである。 1、研究代表者がこれまでに蓄積してきたレヴィナス研究を活用しながら、それとアンリ現象学との関連を、いわゆる「神学的転回」(ジャニコー)とはまったく違う宗教哲学的な枠組みのもとに捉え返す試みが企てられた(公刊論文「レヴィナス、アンリ、反宇宙的二元論」を参照)。この論文を通して、レヴィナス・アンリ両哲学者に共通して見られる異端的側面においては、まさしく「悪」の概念が枢要な役割を果たしている点を論証することができた。 2、悪の問題に対する比較思想的な視野を広げるためにレヴィナスおよびバタイユの読解・解釈を展開した。これについては、「存在と情動――レヴィナスからバタイユへ」と題する成果発表を行ったが、本発表のフルバージョンは次年度内に刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)