2012 Fiscal Year Annual Research Report
近代のドイツと日本におけるカント平和論の軍国主義的利用とその問題点に関する研究
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22720013
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
伊藤 貴雄 創価大学, 文学部, 准教授 (70440237)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 哲学 / 倫理学 / 思想史 / 平和論 / カント / フィヒテ / 徴兵制 / 世界市民 |
Research Abstract |
1、昨年に引き続き、カント没後の平和論受容史を探索した。とくに昨年の作業を補う形で、[i]19世紀初頭ドイツ、[ii]19世紀中盤~後半ドイツ、[iii]19世紀末~20世紀初頭ドイツを中心に研究を進めた。 2、[i]については、対仏解放戦争期のフィヒテの徴兵制論に注目し、カントの世界市民主義がドイツの国民国家思潮と一体化していく過程を考察した。そのさい、フィヒテと同じくカント主義者でありながらもドイツの国民国家思潮を批判し、徴兵拒否者でもあったショーペンハウアーの法哲学と対比しつつ検討した。そうすることで、ドイツのカント平和論受容が「国民国家的なもの」と「世界主義的なもの」とに二極化していく最初の契機を、時代構造のなかで捉えるよう試みた。(論文「ショーペンハウアー法哲学の成立史――カント・フィヒテの自然法論との関係」、および「ショーペンハウアー法哲学の成立史――カント・フィヒテの自然法論との関係」の一部)。 3、[ii]については、上記のフィヒテの路線が、同戦争終了後の反動期ドイツでどう受容されたかを、ヘーゲル法哲学との関連で調査した。そのさいやはり、ヘーゲル批判者であり、徴兵制批判者でもあったショーペンハウアーの法哲学と対比しつつ検討した。そうすることで、先述のカント平和論受容の二極化が思想史的に定着化していった過程を、時代構造のなかで捉えるよう試みた。(論文「ヘーゲルとショーペンハウアー――根拠律の社会哲学」の一部)。 4、[iii]については、ここまで述べてきたカント平和論受容の二極化が、ヘーゲル派法哲学と、新カント派法哲学とに継承されていく過程を追跡した。両者を分析するさいにはマルキシズムの徴兵制論との関係も視野に入れねばならず、資料収集したものの十分な検討には至らずに終わったため、今後の課題とせねばならない。(間接的には、論文「ショーペンハウアー社会哲学研究序論」に反映)
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)