2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経哲学的な研究手法による意識の表象理論の妥当性の検討
Project/Area Number |
22720014
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
鈴木 貴之 南山大学, 人文学部, 准教授 (20434607)
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Keywords | 意識 / クオリア / 表象 / 神経哲学 |
Research Abstract |
本年度は、本研究プロジェクトを進める上での基礎作業として、以下の活動を行った。 (1)名古屋大学大学院生の井上研氏による協力のもと、意識にかんする近年の経験科学研究の中で、とくに哲学的な意識理論にとって重要な意味を持つと思われるものについて、文献調査を行った。その結果、盲視のような古典的な事例に加えて、変化盲、不注意盲、両眼視野闘争、視覚運動失調など、哲学的な意識理論、とくに意識の表象理論を具体的に展開する上で説明が必要となる事例が数多く存在することが明らかになった。 (2)意識にかんする最新の研究動向を把握するため、平成22年9月に神戸で開催されたNeuro2010や、生理学研究所主催の国際シンポジウム、玉川大学脳科学研究所主催の研究会等に参加出席した。 (3)意識研究の重要トピックについてさらに理解を深めるために、平成23年1月と3月に研究会を開催した。1月の研究会では、生理学研究所の吉田正俊助教を講演者に招き、神経科学的な盲視研究の最新の動向について話をうかがった。3月の研究会では、京都大学大学院の太田紘史氏、北海道大学大学院の新川拓哉氏を講演者に招き、知覚の哲学と意識の哲学の関係、神経科学的に現実的な知覚理論の可能性などについて話をうかがった。 本年度の研究活動の結果、哲学的・神経科学的な意識研究の現状について、その全体像を明らかにすることができた。次年度以降は、本年度の研究結果を具体的な研究成果として発信していきたい。まずは、(1)の文献調査の結果をレビュー論文などの形で公刊すること、意識の表象理論にかんして研究代表者を発表者とする研究会やワークショップを開催すること、の二点を目標としたい。
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Research Products
(1 results)