2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツにおける赤ちゃんポスト及び匿名出産制度に対するキリスト教の立場に関する研究
Project/Area Number |
22720028
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
TOBIAS Bauer 熊本大学, 文学部, 准教授 (30398185)
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Keywords | 医療倫理 / キリスト教 / 宗教学 / 宗教と医療 |
Research Abstract |
「平成22年度科学研究費補助金交付申請書」の研究計画に基づき研究を実施した。 (1)本研究プロジェクトの初年度の取り組みとして、まず本研究テーゼの国内外の研究水準及び文献に関する徹底的かつ体系的な調査を行った。それに続いて、主な一次資料(キリスト教諸教会及び同福祉事業団の赤ちゃんポスト・匿名出産制度に対する声明・見解等)及び日本語・西欧語の二次文献を手に入れることができた。 (2)(1)で入手した諸資料を検討した結果を踏まえて、中世から現在に至るドイツ・ヨーロッパにおけるキリスト教諸教会、神学者、キリスト教系福祉団体等の嬰児殺しと捨て子問題への取り組みを文化史的視点から確認した。 (3)1999年以来ドイツに(再)登場してきた赤ちゃんポスト及び匿名出産に関して、現下の議論にみられるキリスト教諸教会と同福祉事業団の立場についても調査した。具体的には、ドイツのキリスト教諸教会及び赤ちゃんポスト等を運営するキリスト教系の福祉団体が、ドイツ倫理審議会が2009年11月に公にした赤ちゃんポスト及び匿名出産に関する見解に対して如何なる立場を採っているかを検証した。ドイツ倫理審議会のその見解は、赤ちゃんポスト及び匿名出産という事業のもつ倫理的・法的問題を指摘し、これを厳しく批判し、かつその廃止を要求するものである。しかし少数意見としてではあるが、その巻末には、それが法的・倫理的問題を内包することを認識しながらも、なおかつこの事業の存続の必要性を訴えるキリスト教諸教会の代表者の声も添えられているのである。それらの分析によって、現下の議論におけるキリスト教諸教会と同福祉事業団の立場を明らかにしようと研究を進め、その中間結果を雑誌論文として発表した。
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Research Products
(1 results)