2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西 信康 北海道大学, 大学院・文学研究科, 専門研究員 (30571062)
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Keywords | 思想史 / 中国哲学 |
Research Abstract |
戦国諸子の仁義内外論の研究 本研究は、戦国諸子の仁義内外論を総合的に再検討し、『孟子』に見える仁内義外論の思想的意義の解明を目的とした。本研究では先ず、『孟子』以外の戦国諸子文献(『管子』戒篇、『墨子』経説下篇、郭店楚簡『語叢一』)において、「仁」と「義」とが「内」と「外」という概念で論じられるとき、そこでは一体の何が主題となっているのか、問題意識の一般的状況を確認し、仁内義外説に対する従来の観点の不備を指摘した。その上で、告子の仁内義外説には従来の研究が想定する観点とは別に、独自の思想的意義が存することを明らかにし、その思想的意義を解明することができた。告子自身が提示する比喩と説明とによるならば、その仁内義外説の主題は、「仁」は「我の私的な親疎の基準(「我」)」に従い決まるものであり、「義」は「白さ」や「長さ」と同様、客觀的で公的な尺度に従い決まることを示すことにある。したがって、告子の義外説は、「門外」に適用される「義」の客觀性を強調する郭店楚簡『六徳』や、「道」の客觀性に假託する形で、「義」の規範としての客觀性を證明しようとする郭店楚簡『語叢一』と、ほぼ同様の問題意識に基づくとを明らかにした。更に、重要な点として、告子の義外説は、「理」(『禮記』喪服四制篇)や「道」(『語叢一』)、或いは『墨子』天志中篇に、「義は果たして天より出づ」とある「天」といった、それ自體すでに一定の客觀性が保證された權威的概念を持ち出しておらず、そこに告子の仁内義外説の思想的特徴があることを指摘した。
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Research Products
(2 results)