2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22720031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西 信康 北海道大学, 大学院・文学研究科, 専門研究員 (30571062)
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Keywords | 出土資料 / 儒家思想 / 道家思想 |
Research Abstract |
本年度は、古代中国における儒家思想と道家思想の研究に取り組んだ。具体的には、『上海博物館蔵戦国楚竹書(二)』所収の『民之父母』を研究対象とし、道家の「道」の哲学が儒家思想に与えた思想的影響について、明らかにした。『民之父母』は、その内容が『礼記』孔子閑居篇や『孔子家語』礼論篇等の伝世文献と重なることから、人々の注目を集めた新出土資料である。この資料は、『礼記』等伝世文献との間に、文字の異同が見られることも、既に指摘されている。例えば、『民之父母』に、「物之所至、志亦至焉」とある一文は、『礼記』孔子閑居篇では、「志之所至、詩亦至焉」に作る。現在までの所、この字句の異同に関しては、二つの考え方が存する。一つは、『礼記』等伝世文献文献の字句をもとに、『民之父母』の字句を改めるもの。もう一つは、『民之父母』の字句を改めず、現存の字句に従い、合理的な解釈を模索しようとするものである。 本研究では、第二の考え方を踏襲し、この文献の思想的背景を探り、併せて一文の表現形式を詳しく分析し、合理的な解釈を模索した。『民之父母』を理解するためには、道家の「無」の思想及びその礼楽批判の思想との関係を考慮すべきであり、そうしてはじめて、「物之所至、志亦至焉」という一文の思想的意味を理解することができることを指摘した。その具体的な研究成果は、「〓〓上海筒《民之父母》中的"物之所至者,志亦至焉"」として、2011年国際漢語修辞学会(於札幌、2011、10)の口頭発表にて、公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、当該文献の分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画に従い、研究を進める。
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Research Products
(2 results)