2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720034
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
後藤 正英 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (60447985)
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Keywords | スピノザ / メンデルスゾーン / ヤコービ / 啓蒙主義 / ユダヤ教 / 汎神論 / 『神学政治論』 / 近代国家 |
Research Abstract |
21年度2月の日本スピノザ協会において、スピノザの『神学政治論』とメンデルスゾーンの『エルサレム』の比較研究をテーマとする口頭発表をおこなった。この発表は『スピノザーナ』第11号に掲載されることになり、22年度に入って加筆修正のうえ提出した。この論文では、ユダヤの律法と近代国家の関係に関するスピノザとメンデルスゾーンの立場について、一致点と相違点の双方を指摘した。 22年12月には西日本哲学会で口頭発表をおこない、汎神論論争でのメンデルスゾーンの理性擁護論を再検討した。この発表では、ドイツ観念論哲学ではメンデルスゾーンは常にヤコービの対立像として理解されたこと、ヤコービの友人のヴィーツェンマンが汎神論論争期に重要な役割を果たしたこと、独断的信仰を批判するメンデルスゾーンの主張の背景には啓蒙主義思想とユダヤ思想の統合された形態を読み取ることができること、などを指摘した。 12月にはドイツ・イエナ大学のザントカウレン教授を訪問し、24年度の招聘に関する最初の相談をおこない、招聘に関する内諾を得ることができた。スピノザ研究者である大阪大学の上野修教授の協力のもとで関西方面での講演会の開催を予定しており、日本フィヒテ協会とのコラボレーションの話も進行中である。招聘が実現すれば、日本におけるスピノザ受容史研究に対して寄与するところが大きいものと確信する。 他には、昨年度は日本ユダヤ学会でも研究発表を行い、21年度のシンポの発表が22年度刊行の日本シェリング協会の年報に掲載された。
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