2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際美術シーンにおける戦後日本美術の展開とJ・D・ロックフェラー3世の文化政策
Project/Area Number |
22720044
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
池上 裕子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (20507058)
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Keywords | 日米美術交流 / 国際美術シーン / 現代美術 / 文化政策 |
Research Abstract |
今年度は5月にマレーシアに調査旅行に行き、国立現代美術館で調査を行った。また8月にはイタリア、フランスに調査旅行にでかけ、ヴェニス・ビエンナーレとアルル国際写真展における日本人作家の展示について調査を行った。また、10月には韓国のKorean Association for the History of Modern Artの年次大会に招聘され、"The 'Triumph' of Japanese Neo-Pop : A Historical Evaluation"と題した発表を行った。さらに、2012年2月にはアメリカのCollege Art Associationという美術史学会の"Pop and Politics"というパネルで"Looking at Being Looked Art : Jasper Johns in Tokyo,1964"と題した研究発表を行い、アメリカの美術家ジャスパー・ジョーンズと日本の批評家東野芳明や、美術家の篠原有司男の交流について発表した。さらに、3月にはポロック展のシンポジウムでアメリカ美術の国際市場形成について講演をした。 出版成果物としては、Journal of Korean Association for the History of Modern Artに発表を論文にまとめて投稿・出版し、城西大学のReview of Japanese Culture and Societyに昨年度ハーヴァード大学のワークショップで口頭発表した大阪万博のペプシ館についての論考を発表した。また、スミソニアン学術出版会と大阪大学出版会から刊行された共著にも、それぞれ"ROCI East : Rauschenberg's Encounters in China"および「ROCIと文化的時差-制度としての現代美術のグローバル化について」と題した論文を発表している。 この他、篠原有司男については来年度ニューヨーク州立大学で開かれる彼の回顧展に企画参加しており、ロックフェラー・アーカイヴ・センターでの調査を進めている。また、College Art Associationでの発表とパネル討議を共著として出版する計画に携わっており、来年度以降具体的に進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果を着実に発表・出版しており、1969年にロックフェラー3世財団の奨学金で渡米した篠原有司男に関しては、ロックフェラー・アーカイヴ・センターでの調査からこれまでに知られていなかった多くの資料を見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同じく、アーカイヴ調査と聞き取り調査を中心に調査を進めていく。来年度は篠原有司男展の図録に寄稿するため、そこでロックフェラー財団の文化政策と実際の個人アーティストの制作の関わりについて、具体的に詳述することで研究成果をまとめる予定である。
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