2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22720048
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
近藤 壮 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (60469210)
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Keywords | 美術史 / 芸術諸学 / 日本史 / 近世絵画 / 紀州 |
Research Abstract |
本年度は、近世紀州画壇における画家のうち、文人画家の作品の調査および資料の収集と分析を重点的に行った。調査対象としては、紀州三大文人画家の祇園南海、桑山玉洲、野呂介石、これら三人の画家を中心として、南海の次男の祇園尚濂、玉洲や介石とも交流を持った松丘、或いは介石の弟子である野際白雪、西郷石鴎などの調査を行った。また、昨年に引き続き、紀州画壇における画家の伝記資料調査も継続して行った。具体的には、大正時代に編纂された、貴志康親編『紀州藝術家小伝』(1929年)を精査し、同書に掲載されている画家に関する伝記資料をデータ化し、他の文献、日記、書簡類等の諸史料との照合作業を行った。作品および文献、日記、書簡類等の具体的な調査先は、和歌山市立博物館、和歌山県立博物館、和歌山県立図書館、和歌山県立文書館、東京大学総合図書館、国文学研究資料館、国立国会図書館、東京文化財研究所、早稲田大学中央図書館、大分県立図書館、大分市美術館、田辺市立美術館、和歌山県内および大阪府・兵庫県・京都市・東京都内の個人所蔵者である。 さらに、本年度から、作品・資料調査とあわせて、データベースアプリケーションソフトによる画像データベースの構築に着手し、調査した作品資料のデジタルファイリング化を順次行っている。これは、次年度以降に予定している紀州画壇全体を把握するための基礎資料構築のための準備段階として位置付けられるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作品調査については、ほぼ計画通りに順調に進展しているが、収集した諸史料、書簡・文書類の解読がやや遅れている。これは史料収集に思わぬ収穫があったからであるが、解読は次年度重点的に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
近世紀州画壇の作品(個人蔵)の多くが、未紹介の新出作品であるため、真贋の問題も含めて、作品の細部や落款印章の比較は慎重に行いたい。そのうえで、今後の近世紀州画壇研究における基礎となるような資料集(カタログレゾネ)の作成も視野に入れて取り組みたい。
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