2010 Fiscal Year Annual Research Report
学術標本における保存修復法の確立~修復材料及びレプリカ制作法を中心に~
Project/Area Number |
22720054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 敏正 東京大学, 総合研究博物館, 特任助教 (10516769)
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Keywords | 文化財 / 保存修復 / 標本 / レプリカ / 伝統技法 / 彫刻 / 3D / 美術 |
Research Abstract |
文化財保存修復の分野では、平城京朱雀門の復元、東大寺南大門仁王像の修復など様々な修復、復元作業が行われてきた。また、考古出土品についても発掘から修復に至まで数多くの研究分野で発展してきた。近年、文化財修復の現場では近現代美術工芸作品についても修復が必要な状況になりつつあり、それらの作品に対し、非常に大きな影響を与えているのが学術標本である。 本研究は、これまで修復という概念を持たなかった大学博物館所蔵の学術標本に対し、修復及び復元プロジェクトを設立し、実践的な作業を行いつつ学術標本に対して素材、分野ごとに修復法の確立と、3D入出力装置を使用した新たな学術標本の作成を目的とするものである。 学術標本の修復法について参照可能な、文化財修復分野及び考古学修復分野の理念・技法・材料について検証し、学術資料に対し最も有効な素材等を選定し、修復に伴い学術標本の3Dレーザースキャニング計測を実施し、データを基に別素材での複製を作成している。特に、東京大学博物館、及び東京大学数理科学研究所所蔵の数理模型について損傷の激しいものを対象に調査を行い、同素材による複製の制作及びオリジナルを参考にした復元的修復を進めている。素材の変更を行うには3D入出力装置を使用することにより、非常に正確な短時間で制作することが可能となる。学術標本として多く用いられている石膏は非常に乾燥している状態であり、修復に使用する樹脂の判断が必要となる。文化財保存修復分野では補作部分に対し、オリジナル部分との目視での判別が可能な処置をする場合が多いが、石膏のような判別の難しい素材に対する修復方法を検証する。
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Research Products
(2 results)