2012 Fiscal Year Annual Research Report
「ツアー・パフォーマンス」の独自性と意義――調査と分析による解明
Project/Area Number |
22720062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 均 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (60510683)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | パフォーマンス / 都市空間と芸術 / 芸術における参加 |
Research Abstract |
当該年度は、まず6月にウィーン芸術週間の調査を行った。ドキュメンタリー的手法を用いた演劇作品(ソマリアの海賊をテーマにした子ども向けの演劇、オーストリアで成功した外国人が自己紹介するパフォーマンス)、および非職業的俳優の参加によるプロジェクト(1970年代のガストアルバイター・オペラに基づく新たな音楽劇、「オーストリアを外国人に統合する」キャンプのプロジェクト)という、「ツアー・パフォーマンス」(以下TPと略)と密接な関係にある演劇の流れを確認した。また批判的な観点も得ることができた。11月には、「メディアとしての演劇の可能性-ツアー・パフォーマンスをめぐるフォーラム」の標題で、演出家・高山明氏(PortB)によるこれまでのプロジェクトのプレゼンテーション、木ノ下智恵子氏(大阪大学CSCD)と高山氏による対談を開催した。その際には、これまで東京・横浜を中心として開催されたTPについて、関西におけるプロジェクトの可能性について議論されたほか、近年のプロジェクトにおいて「声を集める」ことが中心的主題であることが確認された。3月には、「演劇における言語の問題-翻訳者の課題」の標題で、ドイツ語翻訳者・演劇研究者の林立騎を講師とする講演会を行った。その際に、エルフリーデ・イェリネクの演劇言語においては、対話の可能性が疑問に付されていること、また様々な文学的・哲学的テクストの断片の集積からなることが指摘され、こうした上演困難なテクストとの取り組みの事例として、ヨッシ・ヴィーラー、アイナー・シュレーフによる演出が紹介された。また、上演の可能性として、2012年の《光のないII》のTPとしての上演が取り挙げられ、都市空間に対する感覚的知覚が更新される経験について、また、芸術経験における受動性の意義の再評価といった議論が展開された。研究代表者は現在、上記の成果をもとに総括的論考を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)