2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720066
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
GILLAM Matthew 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (50468550)
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Keywords | 身体 / 琉球音楽 / 流派 / 三線 / kinesthetic / gesture / Okinawan music |
Research Abstract |
本研究では、沖縄の歌三線音楽や琉球箏曲の演奏時における、身体の動きの役割を考察した。旋律を作り出す役割のみならず、伝授過程における身体、または門下会のアイデンティティ表現としての身体、多様な視点から考察をした。 本研究は主に三つのアプローチをとった。(1)身体の動きはビデオ映像として収録し、その映像の分析を行った。(2)これらの映像について演奏者はどのように認識し、論じているのかを明らかにする目的で、演奏者とのインタビューを行った。(3)身体の動きは沖縄音楽界では一般的にどのように見られているのかを明確にする目的で、出版された文献や楽譜を収集し分析した。 結果としては、手の動きや上半身の動きは次の役割を持っていることが明確になった。 (1)旋律やリズムの記憶:演奏者は意図的に身体を特定の「型」に基づいて動かし、インタビューでも「体でおぼえる」などの発言が数多く見られた。(2)伝授過程では身体の動きを通して旋律やリズムを伝える伝授法をビデオで確認できた。さらに、お稽古場での身体の動きは師匠が生徒に積極的に指摘していることを収録できたので、教授課程における身体の役割をより明確に確認できた。(3)美的な役割:多くの演奏者はインタビューで身体の動きを美的な視点から評価した。つまり、沖縄の古典音楽の演奏では、音を作り出すことのみならず、身体の動きは演奏の重要な要素であることが明確になった。(4)門下界のアイデンティティ:ビデオ映像やインタビューからは、一つの流派(野村流)において、身体の動きは「門下会」という組織のレベルである程度統一されていることが明確になった。さらに、演奏者はお互いが所属する門会のアイデンティティを身体の動きで認識していることが多く見られた。
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Research Products
(2 results)