2012 Fiscal Year Annual Research Report
敗戦直後における日本文学と地方雑誌の関わりについての総合的研究
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22720077
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大原 祐治 千葉大学, 文学部, 准教授 (40554184)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | メディア / 占領期 / 地方雑誌 / 日本近代文学 |
Research Abstract |
本年度は、全国各地の特色ある地方雑誌を収集し、敗戦直後における地方雑誌刊行の概況について調査を行った。「中部文学」(高須書房・愛知県豊橋市)他いくつかの雑誌を入手し、目次立てや編集後記などから、編集サイドと執筆者との間に形成されていた関係性を把握すると共に、巻末等に配置されている出版広告の情報から、各地方で展開されていた出版活動に関する研究の足がかりを得た。今後は、こうした情報を起点に、地方における出版社・編集者と執筆者とのネットワーク形成を把握することを目指したい。 また、前年度より継続している新潟市周辺での地方出版に関する調査では、新潟市歴史博物館みなとぴあ所蔵資料に関する調査を行い「月刊にひがた」(新潟日報社・新潟県新潟市)全号を閲覧することができた。総目次作成にも着手し、今年度は第1巻第1号から同12号までの目録を完成させた。編集部が東京の知識人のみならず、九州を拠点に活動する文学者との連携も試みながら誌面を構成しようとしていたことが窺われ、地域を跨いで活発な動きを見せていた当時の地方雑誌のありようの一端を確認できたことは収穫であった。 調査の結果からは、敗戦直後の地方雑誌が、各地の疎開文化人などを巻き込みながら、講演会の企画や懸賞小説のようなイベントを展開して地域の読者層を取り込むと同時に、遠方の地方雑誌やその書き手とも積極的に交流を試みていたという事態が窺われた。こうした実態は、東京を中心にして語られることの多い文学史、思想史、メディア史といった領域における研究に再考を迫るものだと思われる。 今後の研究においては、雑誌のみならず地方出版社の活動状況なども視野に入れつつ、敗戦直後の地方における出版活動についての考察が求められるだろう。こうした視点の確保によって、「戦後」という言葉のもと、単線的に語られてきた日本社会の複数性が浮かび上がると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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