2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720079
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
土佐 朋子 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (00390427)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 上代文学 / 『懐風藻』 / 日本漢詩文 / 伝本系統 |
Research Abstract |
『懐風藻』伝本に関する現地調査および校本作成にむけた作業を進めることができた。具体的には次の通りである。 1)次の13本の『懐風藻』写本について、所蔵地において調査を行った。鹽竈神社所蔵『懐風藻』写本1本、宮城県図書館伊達文庫所蔵『懐風藻』写本1本、東北大学図書館所蔵『懐風藻』写本1本、島原公民館内図書館松平文庫所蔵『懐風藻』写本1本、祐徳稲荷神社所蔵『懐風藻』写本1本、三康図書館所蔵『懐風藻』写本2本、東京大学附属図書館所蔵『懐風藻』写本2本、今治市立河野美術館所蔵『懐風藻』写本1本、広島大学中央図書館所蔵『懐風藻』写本1本、国立歴史民俗博物館所蔵『懐風藻』写本2本。この中で、三康図書館所蔵『懐風藻』写本2本、国立歴史民俗博物館所蔵『懐風藻』写本2本、広島大学中央図書館所蔵『懐風藻』写本1本は、まだ調査報告のなされていない未紹介写本である。国立歴史民俗博物館所蔵の田中穣氏旧蔵本以外は、版本の書写本であるが、現在、精査をしており、後日その結果を公開する予定である。 2)次の版本3本について、所蔵地において書入れなどの調査を行った。東北大学図書館所蔵宝永2年版本1本、三康図書館所蔵群書類従本1本、東京大学文学部漢籍コーナー所蔵寛政5年版本1本。 3)これらの調査した写本の本文の複写を収集し、23年度までに収集した資料とあわせて校本作成にむけた作業を進めた。また、23年度に収集した資料について、調査報告を公開した。さらに、本文調査の結果にもとづき、『懐風藻』所収作品である大津皇子「春苑言宴」詩の「言」は本来あるべき文字であることを明らかにし、「言宴」こそが大津皇子の志向したものであったことを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査を予定していた23本の写本の所在確認と調査を、予定通りほぼ終了することができ、個人所蔵のものと閲覧が難しいものとを残すのみとなっている。また、調査の過程で、未紹介の写本を8本発見することができた。調査と同時並行で進めている、『懐風藻』校本作成にむけた作業も、現段階で32本分の切り貼りが済み、比較検討するための準備が整いつつある。このような状況から、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は本研究課題の最終年度となる。調査の済んでいない写本の調査と、未紹介写本の発掘、また校本作成にむけた作業の継続が、今後の研究の主な内容となる。正確な校本を作成するために、できるだけ多くの写本の現地調査を行うことが今後の研究の推進方策である。
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Research Products
(3 results)