2012 Fiscal Year Annual Research Report
鎌倉中期の古典注釈に現れる言語意識についての総合的研究
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22720080
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
岡崎 真紀子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (30515408)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 和歌 / 悉曇学 / 古典注釈 / 言語意識 |
Research Abstract |
鎌倉中期の文永~永仁年間には、万葉集注釈の精華である仙覚『万葉集註釈』、源氏物語の注釈書として重要な位置を占める『光源氏物語抄』『紫明抄』、古今集の注釈書である『三流抄』、そして歌学および思想の書として注目される『野守鏡』などといった古注釈や歌学書が多く成立した。 本研究では、これらを同時代の学芸としてジャンル横断的にとらえたうえで、先行する院政期の学芸とも比較して、鎌倉中期の古典注釈の特性を考察した。具体的には、悉曇学(梵語の文字と音韻の学問)にもとづく音韻相通説や音義説、和語を注釈する際に漢語をあてて解釈する説などといった、日本語学的な注釈方法が、これらの文献に共通して現れることに着目した。悉曇学の側の資料では、八世紀の安然『悉曇蔵』、院政期の明覚『悉曇要訣』『梵字形音義』『反音作法』を参照しつつ、鎌倉中期に成立した了尊『悉曇輪略図抄』にとくに注目した。そこで、上記の諸文献について、資料調査にもとづく本文の基礎的研究からはじめて、対象とする資料から着目すべき部分を抽出して、それぞれの部分について考証と分析を試みた。 それらの検討を通して、悉曇学の影響のもとで形成された自国の言語に対する意識と、古典文学の注釈書の言説とのあいだに深い関わりがあることを、総合的に明らかにした。具体的な研究成果として、論文「勅撰和歌集序という論理―『千載集』から『新続古今集』へ」(平成24年7月、『日本文学』)などを公表した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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