2011 Fiscal Year Annual Research Report
明治期における少年雑誌にみる読書観に関する歴史社会学的研究
Project/Area Number |
22720083
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
目黒 強 神戸大学, 大学院・人間発達環境学研究科, 准教授 (70346229)
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Keywords | 近代文学 / 児童文学 / 歴史社会学 |
Research Abstract |
平成23年度は、『日本之少年』(1889~1894)ならびに『少女世界』(1906~1912)の二誌における読書関連記事を中心に検討した。なお、『日本之少年』を検討対象に追加したのは、後継誌である『少年世界』(1895年創刊)における読書観を明らかにする上で必要であると判断したからである。 『日本之少年』における読書観を検討したところ、少年雑誌が青少年に及ぼす影響を論じた記事が散見された。「小説」の読書による悪影響を指摘した記事が少なくないなかで、特定のジャンルの読書を正当化する言説が認められた。とりわけ、「学術小説」が「小説」の読書を正当化するジャンルとして機能していたことが示唆された。少年雑誌に「小説」を掲載する戦略として注目される。以上の検討から、昨年度の検討で確認された『少年世界』における読書観が『日本之少年』において既に顕在化していたことが明らかとなった。 『少女世界』における読書観を検討したところ、少女雑誌が少女に及ぼす影響を論じた記事が散見された。少女雑誌に固有の傾向としては、「小説」の読書が女学生堕落問題とセットになって問題化されていること、少女が感化されやすい存在として位置づけられていること等が明らかとなった。また、『少女世界』に固有なジャンルとして「少女対話」などの少女による上演を想定した読み物が掲載されていることが注目された。「小説」と並んで青少年に悪影響を及ぼすとされたジャンルである「芝居」が掲載されていたことは、『少女世界』における読書観を明らかにする上で示唆的であった。
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Research Products
(2 results)