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2012 Fiscal Year Annual Research Report

読本の主題形成における水戸学の意義

Research Project

Project/Area Number 22720084
Research InstitutionNara Women's University

Principal Investigator

久岡 明穂  奈良女子大学, 人間文化研究科, 博士研究員 (20437510)

Project Period (FY) 2010-04-01 – 2013-03-31
Keywords日本近世文学 / 読本 / 江戸時代 / 思想 / 馬琴
Research Abstract

江戸時代の読本、特に曲亭馬琴の史伝物読本と水戸学との関連を研究した。
曲亭馬琴作『椿説弓張月』では、王位(皇位)継承がテーマとして扱われている。作中で日本の「三種の神器」に相当するとされている琉球国の「みづちの珠」が重視されていることに着目した。「三種の神器」は記紀神話から伝わるものであるが、ちょうど江戸時代中期以降の水戸学の興隆とともに強く意識されるようになったという時代背景がある。
「三種の神器」についての思想を歴史的な流れの中で確認し、特に当時の神器思想のなかでも大きく注目されていた水戸学の歴史書『保建大記』の神器思想の影響を受けていることを指摘した。『保建大記』の神器思想とは、神器を持つ者を正統な継承者とすること、神器を守るために別の神器を作る行為自体を神器を淆る行為として批判する、というものである。
馬琴の『椿説弓張月』にもこのような思想が見られる。馬琴は作品を通して、正統であること、善人であることと、王位(皇位)を継承する資格を有することとが別の次元の資質であることを描いている。王位(皇位)継承の資質とは、神器とそれに象徴される国家の安泰を守ることであると示している。『椿説弓張月』にこのような思想が見えることから、馬琴作品の解釈には江戸時代特有の思想が関連することがわかる。
さらに、文学作品の創作方法としては、馬琴は、「みづちの珠」を「三種の神器」になぞらえて描くことにより、『椿説弓張月』の琉球国の歴史全体を日本の歴史に見立てるという創作を行っている。別の国の歴史に置き換えて描くことで架空の話として見せながら、日本の歴史についての自分の見方を伝え、さらに読者にも歴史を考えさせるという効果があると考えられる。
以上の内容を二〇一二年六月二四日の日本近世文学会夏季大会で報告し、論文執筆中である。

Current Status of Research Progress
Reason

24年度が最終年度であるため、記入しない。

Strategy for Future Research Activity

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 「みづちの珠」と「三種の神器」ー『椿説弓張月』論ー

    • Author(s)
      久岡明穂
    • Organizer
      日本近世文学会
    • Place of Presentation
      明星大学

URL: 

Published: 2014-07-24  

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