2010 Fiscal Year Annual Research Report
明治期における翻訳文化と幻想文学の相関に関する研究
Project/Area Number |
22720086
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
野口 哲也 鳴門教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (90533000)
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Keywords | 国文学 / 日本文学 / 近代文学 / 明治文学 / 比較文学 / 翻訳 / 文学論 / 文学一般 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本近代の文化的制度の成立過程に決定的な形で関与した〈翻訳〉が幻想文学にどう作用したのか、また逆に幻想文学の表現機構が日本近代の言語観や精神構造にいかなる形で関与したのかを明らかにすることにある。既に原文/訳文という単純な図式や「意味の再現」といった発想が廃棄される契機が見出され、〈翻訳〉の創造性が本格的に問われはじめてきているが、本研究はさらに、文学における幻想性が、言語的な移動・変容・越境をもたらす契機として翻訳と理論的に近接することを実証し、当該分野において新たな文化論的視野を開示することをねらいとしている。以上のような展望のもと、従来の文学史観では周縁領域に位置づけられ、あるいは埋没していた明治期の幻想文学テクストを新たに発掘しながら分析の対象とし、〈翻訳〉という観点から歴史的・理論的な考察を加えてゆく。 初年度である平成22年度は、トランスレーション・スタディーズ(翻訳学・翻訳研究)の動向を視野に入れながら本研究全体の理論的基盤として〈幻想〉と〈翻訳〉に関する方法論的整備を行った。そのうえで、両者の方法的連関を示しうる文学テクストについて明治期の新聞雑誌媒体を中心に再開拓し、幻想文学研究の方法としての〈翻訳〉の有効性について、実証的な裏付けを得るための基礎的作業に着手した。具体的には、明治期翻訳文学の書誌に関する文献を購入または複写し、それらを参考にしながら対象とすべき作品・資料をリストアップした。本研究では個別的な考察に先立つテクストの発掘と選定という文献学的な課題も重要な位置を占めているが、初年度の成果はその基礎的作業にあたる部分である。次年度以降もこの成果を踏まえ、明治期における広義の〈翻訳〉的営為の実態的な広がりについて、基礎的文献調査を中心とした実証的研究を継続して行く。
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Research Products
(2 results)