2012 Fiscal Year Annual Research Report
英国ドキュメンタリー映画の伝統とブリティッシュ・ニュー・ウェーヴの総合的研究
Project/Area Number |
22720111
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 元状 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (50433735)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | イギリス映画 / ドキュメンタリー / ニュー・ウェーヴ / リアリズム / モダニズム |
Research Abstract |
本年度は、本研究「英国ドキュメンタリー映画の伝統とブリティッシュ・ニュー・ウェーヴの総合的研究」の最終年度にあたるため、「ブリティッシュ・ニュー・ウェーヴと1960年代以降の社会的リアリズム」を主題に研究を進めるとともに、1930年代以降のイギリスのリアリズム映画の表象の変遷を通時的な視点から描き出し、本プロジェクトの総括を行うことに力を注いだ。拙著『ブリティッシュ・ニュー・ウェイヴの映像学ーーイギリス映画と社会的リアリズムの系譜学』(ミネルヴァ書房、2012年)は、本研究の三年間の成果のアウトプットであり、ドキュメンタリー映画からフリー・シネマへ、そしてブリティッシュ・ニュー・ウェーヴからメタフィクションにいたるイギリス映画の展開を「社会的リアリズム」という巨視的な視点から通時的に描き出したものとなっている。1950年代半ばにフリー・シネマを担った三人の映画作家、リンゼイ・アンダーソン、トニー・リチャードソン、カレル・ライスが、どのように第二次世界大戦前後のドキュメンタリー映画の政治的、美学的な遺産を引き継ぎ、1960年代前半にブリティッシュ・ニュー・ウェーヴという新しい社会的リアリズムのフォーマットを確立していったのか、また彼らがどのように1960年代後半以降、自分たちが作り出した社会的リアリズムのフォーマットを生産的に乗り越えて、メタフィクションという新たな映画表象の道を切り開いていったのか。拙著はこのような大きな問いを設定し、それに暫定的な解答を準備することによって、イギリス映画における社会的なリアリズムの系譜学の諸問題に真っ向から取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)