2011 Fiscal Year Annual Research Report
著作権の発展と文学の300年-作品流通の国際化と英語圏各国文学のアイデンティティ
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22720117
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
園田 暁子 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (00434564)
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Keywords | イギリス文学 / アメリカ文学 / カナダ文学 / アイルランド文学 / 著作権 |
Research Abstract |
平成23年度には、前年度に行った、著作権法の成立・発展の過程と、イギリスにおける「著者」の概念、文学者の果たすべき役割に関するアイディアの変遷との関連についての研究((1))をさらに進めると同時に、アメリカ、カナダ、アイルランドにおける文学と文学論に関する研究((2))を行った。 まず、前者((1))については、永代版権を持つことにこだわった文学者は多いが、彼らがなぜ著作者が持つ永代版権にこだわったのかについて、今日の著作者人格権の要素がイギリスの著作権法においてなかったことが関係しているのではないかとの仮説のもとに研究を行った。フランスにおける著作者人格権の発展過程についても調査し、それがイギリスをはじめとする他国の著作権法や国際条約に与えた影響についても考察した。その成果の一部は、ワーズワースの知的所有権の意識と、著作者人格権的考え方の関連について論文にまとめ、投稿準備中である。 後者((2))については、18世紀から20世紀までのアメリカ、カナダの文学論における、文学的天才の定義の変遷と両国独自の文学の成立において文学者たちが果たすべき役割についての議論について調査し、イギリスの対カナダ著作権政策との関係について考察を行った。また、アイルランドにおける状況との比較も行い、それぞれの特徴を把握した。 上記の研究に必要な文献を調査するため、イギリスのブリティッシュ・ライブラリー、アイルランドの国立図書館、フランスの国立図書館で文献調査を行うとともに、著作権、文学論をめぐる議論関連の文献を購入した。 研究の成果を書籍にまとめている途中のため、今年度の発表論文はないが、次年度中にはその原稿を完成させるとともに、(2)についての論文もまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記入した研究計画に従って研究を進めていると同時に、その過程で今後研究を進めるべき新たなテーマもいくつか見つけることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、本研究課題の最終年度にあたるため、3年間の研究の総括を行い、書籍として研究の成果をまとめ、公表する予定である。
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