2011 Fiscal Year Annual Research Report
第一次世界大戦戦争文学におけるリアリズムの構造についての文体論的研究
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22720127
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 昭博 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (60432324)
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Keywords | 仏文学 / 第一次世界大戦 / 文化 / 証言 |
Research Abstract |
今年度行った主要な調査・研究活動、成果の発表は以下の通りである。 1)今年度は、第一次世界大戦を扱った比較的近年の文学作品ならびにジャン・ノルトン・クリュの『証言者』に関する文献を中心に収集した。また、フランスはヴェルダン近郊にあるドゥオーモンの戦跡を訪れ、ヴェルダン市内の戦争博物館を見学し、さらにマルヌ地方にあるナヴァラン農場の戦死者に捧げられたモニュメントを視察することによって、「戦争文化」の現状を調査した。とりわけヴェルダンでは、ヨーロッパ統合と独仏融和の象徴として、現在ではこうした戦跡が用いられていることが理解された。 2)本研究の研究成果も取り入れてH22年3月に出版された拙著『表象の傷』をめぐり、京都大学人文科学研究所共同研究班「第一次世界大戦の総合的研究」で公開合評会を行った(2011年10月8日)。 3)京都大学文学部フランス語学フランス文学研究室、関西日仏学館共催による国際シンポジウムComment la fiction fait histoire?-emprunts, echanges, croisements(「フィクションはいかに歴史を作るか-借用・交換・交差」、関西日仏学館、11月18-20日)に参加し、《La haine de la fiction?」-A propos de Temoins de Jean Norton Cru》と題された報告を行った。この報告では、証言というジャンルが第一次世界大戦をきっかけに重要性を増したこと、そしてそのジャンルにおいては、真実性の要請と美学的な要請が緊張関係に置かれていることを論証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1)証言等を含む戦争文学作品、2)1910-20年代の「戦争文化」関連資料、3)兵士の俗語関連資料の収集ならびに分析を目的としてはじめられたが、1ならびに2の収集ならびに分析については、一部の入手困難なものを除けば、ほぼ予定通り進んでいる。また、上記実績欄で報告したように、証言文学についての研究は、国際シンポジウムでの報告というかたちになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで比較的手薄であった「兵士の俗語」に関連する資料収集ならびに調査分析を行う必要がある。また、証言文学については未だに検討が済んでいない資料があり、理論的にも考察を深めてゆく可能性も明らかになったため、この点についてもさらに研究を進めてゆく。最後に、これまでの研究を総合し、戦争文学についてあらたな知見を提供するための試みも必要となる。
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Research Products
(2 results)