2011 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末から20世紀初頭のロシア文化における文学と音楽のインターフェイス
Project/Area Number |
22720128
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
高橋 健一郎 札幌大学, 外国語学部, 教授 (80364206)
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Keywords | ロシア音楽 / 象徴主義 |
Research Abstract |
平成23年度は、まず19世紀末から20世紀初頭のロシアの音楽家の中で大変重要でありながら研究のきわめて遅れている作曲家アントン・アレンスキーに関する研究を進めた。アレンスキ三の生涯を概観し、ロシア音楽史におけるアレンスキーの位置を確認したのち、ピアノ作品や声楽曲、交響曲、バレエその他主要作品の分析を行い、またわずかながらトルストイなど文学者らとの交流についても研究した。その成果は日本アレンスキー協会のシンポジウムや例会で発表したほか、また単著のブックレットの形でも発表した。 また、アレンスキーのほか、タネーエフ、リャードフ、グラズノフら、19世紀末から20世紀初頭のロシア音楽で重要な役割を果たした作曲家たちのピアノ作品を収めた楽譜の出版を企画し、その校訂、運指、解説の執筆を行った。そこでは、研究対象とする世代の作曲家の音楽史的位置を確認し、前の世代と後の世代との関係を明らかにし、また部分的に20世紀初頭の文学潮流との関係にも触れている。これらの作曲家のピアノ作品についての解説は従来の日本語文献ではほとんど語られたことのないものである。 そのほか、19世紀末から20世紀初頭のロシア・ロマンスの分析も進めている。アレンスキー、タネーエフらの声楽曲の整理を行っており、24年度に行う研究の準備を進めている。また、20世紀初頭のロシア象徴主義とロシア音楽との関係の文献を読み進め、今後の研究の準備を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主な研究対象である作曲家アレンスキーの生誕150年(2011年)を記念したイベントが重なり、そこで本来の研究計画とは異なる内容の研究発表をしなければならなかった関係上、当初の計画と若干異なる順序、ペースで研究せざるを得なかったが、それでも全体的にはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究発表の機会を定期的に多く設け、音楽や文学の分野の研究者との意見交換の場を意識的に多く設けることで、研究の質とスピードを高めていく。
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Research Products
(5 results)