2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720131
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
高橋 愛 武蔵大学, 総合研究所, 研究員 (80557281)
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Keywords | エミール・ゾラ / 自然主義 / 描写 / 視覚芸術 / 印象派 / アカデミスム |
Research Abstract |
夏期休暇を利用して、フランスで資料収集を行った。パリでは、プティ・パレ美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、マルモッタン美術館へ赴き、ゾラの小説と絵画の影響関係をめぐって、対象とすべき作品を調査した。「印象派フェスティバル」が開催されたノルマンディー地方では、ルーアン美術館(ルーアン)、ブーダン美術館(オンフルール)、マルロー美術館(ル・アーヴル)で、ブーダンの影響下でモネが外光による描写方法を確立し発展させた過程を再検討し、シスレーの貴重作品や、アカデミックな手法に基づく描写を残した若き日のドガの未公開デッサンに接して、知見を広めた。アルザス地方においては、ストラスブール現代美術館図書館で印象派画家たちや画商の書簡などを精査し、資料収集に努めた。その後、それらの絵画作品をゾラの美術評論、小説の草稿ならびに決定稿と合わせて考察し、「11.研究発表(平成22年度の研究成果)」に挙げる論文にまとめた。 現在、それらに加えて、ゾラとアカデミスムの関係を扱った論考をまとめている最中で、次年度に発表する最初の論文となる予定である。これによって、アカデミスムの影響下にある絵画に示し続けたゾラの視線と小説描写の発展について、その一端を明らかにすることができると思われる。さらには、ゾラと写真の関係に注目し、19世紀における写真の受容と小説描写への影響、ゾラが被写体として興味を抱いた対象、写真があらわす作家の審美眼などについて検討したい。こうした成果を通じて、『ルーゴン・マッカール叢書』の描写の変化について、その内実と背景を具体的に浮かび上がらせることができる。
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Research Products
(5 results)