2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅谷 博之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (60515815)
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Keywords | モンゴル語 / 形態論 / 語形成 / 派生 / 複合 / 後置詞 |
Research Abstract |
本年度は,派生接辞のリストの作成,および複合語の例の収集から始めた。そして,集めた例を基にして調査票を作成し,8月に約3週間モンゴル国に滞在して調査を実施した。 複合語は,eceg ex(前部要素が「父」で,後部要素が「母」で,全体として「両親」)のように,二つ(以上)の要素が結びついて全体として一語を形成する。一般的に,典型的な複合語は,これらの要素間の結びつきが強固であるとされている。しかし,本年度の調査の結果,先行研究において複合語とみなされている形式の中には,各要素間の結びつきが典型的な複合語ほどは強くないものがあることが分かった。 各要素間の結びつきがそれ程強くない形式をどう扱うか(すなわち、複合語として認めるべきか,あるいは別の「何か」として扱うべきか)という問題を解決するためには,本研究の考察対象である派生や複合だけではなく,モンゴル語全体を見る必要がある。そこで,派生と複合に関する現象を,モンゴル語全体の中で正確に記述するための準備作業として,「後置詞と,それに先行する名詞との間の結びつきの度合い」の記述を行なった。記述の結果,従来「後置詞」という一つのグループにまとめられていた形式であっても,各々が持つ音韻的,形態的特徴はかなり異なっており,「後置詞」をさらにいくつかのグループに分けることも可能であることが分かった。後置詞に対して用いたこの記述方法を複合語についても適用して,二つ(以上)の要素間の結びつきの度合いを今後記述していく予定である。
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