2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国雲南省白族(ペー族)の白文(ペー文)の分析と解読法の確立
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22720152
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
立石 謙次 東海大学, 文学部, 講師 (50553426)
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Keywords | 雲南省 / 大理白族自治州 / 白族(ペー族) / 白語(ペー語) / 白文(ペー文) / 大本曲 / 表記規範 / 少数民族言語 |
Research Abstract |
平成22年8月及び平成23年3月に中国雲南省で調査を行う。昨年度に続き、大理白族の間に伝わる民間芸能「大本曲」とそのテキストをもとに白族の言葉を漢字で表記する白文の表記規範について考察おこなった。 昨年からの調査成果をもとに2011年9月に「中国雲南省大理白族の「大本曲」の概説と紹介-テキストを中心に-」を『國學院雑誌』において発表した。同文において大本曲の概要を紹介するとともに大本曲テキスト読み上げの過程から、白族が用いる漢語の声調規範が同地方漢族の漢語方言とも異なることを指摘した。この声調規範については、これまでの研究でも指摘されることはなかった。しかも、この漢語の声調規範の発見によって、大本曲テキストの整理及びテキストの表記規範の解明に一定の進展をみた。 これまでの調査では大本曲テキスト『秦香蓮』のテキスト化、翻訳、国際音声記号を付すという作業を行った。本テキストをもとにした聞き取り・打ち込み・翻訳・語彙集の作成は、3度にわたるインフォーマントに対する確認作業を経て、ほぼ完成しており、来年度に向けて発表を予定している。 また平成23年3月の調査では、これまで調査を行っていた『秦香蓮』テキストとは、同名の演目ながら異なる系統の『秦香蓮』テキストに対する聞き取り調査も行った。それは同一演目間における、複数のテキスト間での表記を比較することにより、白文の表記規範についての一層の理解が進むものと考えたからである。テキスト間における比較作業については、来年度いっぱいまで継続を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である白文(ペー文)テキストのテキスト化・翻訳・語彙集の作成に加えて、国際音声記号を付す作業がすでに完成しており、最終年度(24年度)には確実に研究成果を発表できると考えられるため。これに加えて、当初の予定には入れていなかった周辺テキストとの比較作業がすでに行われているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まとまった白文テキストの翻訳作業がほぼ完了し、現在は周辺資料との比較検討を行っている。次年度については整理した資料の発表とともに、これら資料間の比較検討を進めていく。現在整理を行っているテキストの周辺には、このほかにも大量の白文資料が存在している。今後はこれら史料群を可能な限り記録・保存する作業を進めていく必要がある。
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Research Products
(3 results)