2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模コーパスを用いた同時通訳者の通訳プロセスの定量的な分析
Project/Area Number |
22720154
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笠 浩一朗 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 助教 (40397451)
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Keywords | 通訳研究 / 自然言語処理 / 機械翻訳 |
Research Abstract |
同時通訳者の通訳プロセスの分析を実施した ・分析の概要 昨年度、同時通訳コーパスに対して、単語単位の時間情報の付与などのアノテーション作業を実施した。分析では、そのうちの88講演分の英日同時通訳データを用いて、下記の3つの分析を実施した。 1.同時通訳者の発話速度に影響を与える要因の分析(Howの分析) 同時通訳者が原発話の内容を記憶している量(記憶量)と同時通訳者の発話速度との関係について分析した. 通訳者の記憶状況は,対訳対応と単語単位の発話時間の情報をもとに推定した.分析結果より、通訳者の蓄積量が増加しても、発話速度にはほとんど影響を与えないことを確認した。一方で、通訳者の記憶量が増加すると、発話していない割合が増加することを確認した。蓄積量が貯まっていない場合の発話率は60%程度なのに対して、蓄積量が溜まっている倍には、70%以上に増加することを確認した。 2.訳出遅延の分析(Whenの分析) 同時通訳者が原発話の内容を記憶している量と訳出遅延との関係を分析した。その結果、通訳者の記憶量が増加するほど、訳出遅延が増加することを確認した。特に、記憶量が3以上である場合に、訳出遅延が増加していくことを確認した。 3.訳出率の分析(Whatの分析) 同時通訳者が原発話の内容を記憶している量と訳出率との関係を分析した。その結果、通訳者の記憶量と訳出率との間には相関関係がないことを確認した。 上記の分析結果により、同時通訳者の通訳プロセスを解明する上で重要な知見を得ることができた。特に、同時通訳者の記憶している量が増加しても、通訳者は発話速度を変化せずに、発話率を変化させていることを確認できた.
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Research Products
(4 results)