2010 Fiscal Year Annual Research Report
地理情報システムを用いた中国の諸言語に関する言語類型地理論的研究
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22720157
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
更科 慎一 山口大学, 人文学部, 准教授 (00379918)
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Keywords | 地理情報システム / 中国語 / 言語類型地理論 / 臨夏方言 |
Research Abstract |
22年度における研究は、資料収集のための予備調査、データベース検索プログラム及びデジタル地図の試験的運用を主とする。 資料収集については、出版された先行研究を収集するかたわら、8月に中国の北京市・甘粛省・青海省に赴き、文献調査及びフィールド調査を行った。即ち、北京では、国家図書館において中国の研究者による少数民族言語に関する研究著作(単行本、博士論文等)を閲覧し、また中国科学院図書館において清朝の多言語文献(中国語・満洲語・モンゴル語等が記述された対訳語彙等)につき調査した。甘粛省では、臨夏市の漢語方言の声調に対する簡単な調査を行い、甘粛・青海両省ではアラビア語表記漢語(消経)文献を入手した。また2月には、東北大学で行われた国際ワークショップ「モンゴル語の辞書」(主催:栗林均科研基盤(B)「中世モンゴル語研究の統合」)に参加し、中国語とモンゴル語の対訳辞書等に関する発表を聞いた。「消経」文献及び清朝の文献に関する調査は、現在の中国の多言語状況及び言語接触現象の歴史的背景を知る上で、本研究にとってフィールド調査と共に重要な位置を占める。 8月の調査の成果は、口頭発表一件(山口中国学会大会、12月18日、山口大学人文学部)及び論文一件(『KOTONOHA百号記念論集』、愛知県立大学古代文字資料館、平成23年3月31日)として発表された。前者は甘粛省及び青海省に分布する「消経」文献の概要に関するものであり、後者は甘粛省臨夏市の漢語方言の声調に関するものである。 デジタル地図の作成については、1月にGISソフトウェアの設置及びGISシステムの構築を行い、中国全土(台湾を除く)の220言語それぞれについて、音韻などに関する7項目のデータを試験的に入力し、システムの効果を確認した。
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Research Products
(2 results)