2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720159
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
古閑 恭子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (90306473)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 言語学 / アカン語 |
Research Abstract |
本研究は、ガーナ共和国に話される現地語の1つであるアカン語のアサンテ方言、ファンテ方言、アクアペム方言の3方言の共時的データ構築を目指す。母音調和、声調などにおけるこれら3方言の違いには、歴史的変化が絡んでおり、共時的データ構築は、こういった問題に取り組むための基礎づくりとなる。 これを踏まえ、本年度は、第一に、昨年に引き続き、セントラル州アノマボで約1か月間、ファンテ方言の再調査を行った。インフォーマントは昨年までとは別のアノマボ生え抜きの50歳代の男性である。調査は1日約6時間ずつ、基本的に毎日行った。内容は、昨年まで収集してきたデータの再確認であったが、今回のインフォーマントは昨年までのインフォーマントと徒歩圏内に居住しているにも関わらず、語彙に無視できない差異があった。これは今回のインフォーマントが昨年までのインフォーマントと違い、高校までの教育を受けていることや、職業の違いや上昇志向があることから社会方言的な差があると考えらえる。再調査では、語彙約2000の再チェック・収集を行った。このデータを、帰国後、録音資料で音声を確認した上で、エクセル上で入力を行った。 ガーナ滞在期間中、ガーナ大学言語学部を訪問し、同学部上級講師Agbedor氏と研究に関わる意見交換を行った。またインターネットアカン語辞書作成団体Kasahorow研究員のImbeah氏とも辞書作成についての意見交換を行った。 なお、これまで取ためてきたアカン語アサンテ方言、ファンテ方言のデータをもとに、カメルーン ブエア大学で行われた7th World Congress of African Linguistics(8月20日~24日)において「Tonal Behavior of Heavy and Light Syllables in Akan Nouns」というタイトルで発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ファンテ方言の再調査は、インフォーマントの言語的背景が前回までのインフォーマントと少なからず違っていたため、当初予定していたように1か月ですべてのデータをチェックすることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで調査してきたファンテ方言のデータにはムラがあり、適切なインフォーマントを得ることも困難であることが分かったため(時間を守らない、調査への回答が一貫しない、など)、ファンテ方言のデータは論文・発表などに使用しつつ、辞書の作成はアサンテ方言のみで行う可能性がある。その場合、東京在住のアサンテ方言母語話者をインフォーマントとして、データの再チェックを行い、今年度もしくは来年度までの辞書刊行を目指したい。
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Research Products
(3 results)