2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720161
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下地 理則 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (80570621)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 言語学 / 与那国方言 |
Research Abstract |
本年度は以下の成果を研究実績として完成させた。まず,記述文法の作成を実際に開始するにあたり,何をどのような順序で記述すべきかという点について精査する必要があった。これについてさまざまな少数言語の記述文法を参考に議論を尽くし,一定の成果を得た(くろしお出版から書籍の一章として刊行)。次に,記述そのものに関して,統語記述を重点的に行った。統語記述はこれまでほとんど手つかずの分野であったが,特にこの言語の統語記述において最も難解なトピックである格組織(主語と目的語の格標示)に関して、フィールドワークと自然談話の両方のデータにもとづき、一定の結論を示した。すなわち、この言語では、日本語やよく知られている琉球諸語のシステムと異なり、他動詞主語や自動詞主語といった統語的な役割よりも意味的な特徴(動作主性が高いかどうか)が重要である。この結論は、先行研究とは大きく異なり、また先行研究で問題とされていた現象をうまく説明できるだけでなく、ほかの琉球諸語の格組織に関する研究にも応用可能な分析である。これについては論文としてまとめ,論集の一章として入稿済である(『琉球諸語と古代日本語』2014年中にくろしお出版から出版予定)。また,より一般的な統語記述(上記を含め,さらに句構造,述語構造,ボイス,複文)は,すでに記述は終えており,その成果は2015年度中に東京外国語大学記述言語学研究室の紀要において出版予定である。一方で、与那国語の数少ない辞書のひとつである『与那国語辞典』(池間苗著)の録音テープを編者から借り、電子化するという作業もこの科研で行った。エクセルなどに見出しを打ち込み、音声にリンクさせて検索可能な形にすることを目指していたが、今年度は実現できなかった。しかし、録音テープを見出し語ごとに切り分ける作業は完了し、今後の研究に役立つ重要な成果を残せたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)