2012 Fiscal Year Annual Research Report
母音連鎖推移に対する言語接触の影響‐タジク語とウズベク語の母音音素体系
Project/Area Number |
22720162
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Research Institution | Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
井土 愼二 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (80419233)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | タジク語 / ウズベク語 / 母音 / 言語接触 / タジキスタン / ウズベキスタン / 母音体系 |
Research Abstract |
本研究は、タジク語母音音素体系の成立が、連鎖推移と言語接触による母音音素体系の収束の帰結であることを明らかにするという目的をもつ。平成24年度においてこの所期の目的はほぼ達成された。本研究を通して得られたタジク語音声とウズベク語音声の分析によって、両言語の接触地域の少なくとも一つにおいて母音音素体系の収束がおそらく起こったか、もしくは起こっていること(そしてこの収束の連鎖推移への干渉)が明らかになった。 本研究は汎言語的な連鎖推移原則では一意に定まらない推移の説明への言語接触の導入の有効性を示した。また、母音音素体系の収束は報告された事例が少ない現象であり、定量的なデータに基づくものはさらに少ない。本研究はこの点で独創性を示した。 研究計画ではこの年度に雑誌論文執筆および(口頭の)研究発表を通して行う計画であった。この両者とも計画通り行うことができた。口頭発表は国際学会において行った。雑誌論文執筆も行い、Journal of the International Phonetic Association(ケンブリッジ大学出版)に投稿した。この論文はすでに審査を通過しており、平成25年に掲載の予定である。 実施計画では国際的な専門家との協働を行う予定であった。これはトルコやドイツなどの国の研究者とは行えなかったが、タジキスタンの研究者との協働はある程度実現した。 また、本研究は研究代表者が知る限りタジク語の母音音声が定量的に記述された初めての研究である。本研究を通して得られたタジク語音声と音響データの分析は平成24年に刊行された研究代表者による学術書『タジク語文法便覧』(東北大学出版会)における記述にも生かされているほか、研究代表者の平成25年度より始まるウズベク語母音体系の成立過程の研究にも生かされる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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