2012 Fiscal Year Annual Research Report
統語部門と音韻部門のインターフェイスから見る言語の随意性に関する研究
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22720165
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
塩原 佳世乃 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (30406558)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Scheer (2011) の review |
Research Abstract |
本研究はこれまでに「随意性」が指摘されてきた言語現象(動詞句内語順、前置詞残留・随伴を伴う移動・削除など)を、特に音韻論的な重さ(強勢、イントネーション句や韻律語の数)の観点から分析し、語順の選択において真の言語学的随意性は存在しないという仮説の妥当性を検証する。そしてこのことにより、今まで生成文法理論に基づく統語論や最適性理論等で、それぞれ素性の導入や制約の並べ替えのメカニズムにより許容されてきた複数の可能な語順が、統語部門と音韻部門のインターフェイスの観点からは真に同一ではないことを示し、さらには語順の随意性の研究が最終的には人間の脳内の言語機能全体の在りようの解明に貢献することを目指す。 平成24年度は研究開始当初の計画よりも研究の進行が遅れた。統語部門と音韻部門のインターフェイスに関わる研究は近年特に盛んであるため、24年度は当分野にかかわる大著、Tobias Scheer (2011) A Guide to Morphosyntax-Phonology Interface Theories を読んでそのReview を執筆することから研究を再開した。(Reviewは English Linguistics 30-2において発表される予定。)Scheer を reviewすることにより、インターフェイス理論とそれにとって問題となる言語現象について、特に音韻論方面からの知見を得ることができたため、それを平成25年度の研究に生かしていきたい。具体的には、これまでに発表した前置詞残留・随伴を伴う移動・削除に関する論文 (in NELS 33)と、動詞句内イディオムの語順に関する論文 (in MIT WPL 62, EL 28-2)について、その音韻論的特徴を見直し、分析の理論的意味について再考したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度後半から平成24年度前半にかけて、育児休暇による研究中断があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に大著Scheer (2011)を reviewすることにより、インターフェイス理論とそれにとって問題となる言語現象について、特に音韻論方面からの知見を得ることができたため、それを平成25年度の研究に生かしていきたい。具体的には、これまでに発表した前置詞残留・随伴を伴う移動・削除に関する論文 (in NELS 33)と、動詞句内イディオムの語順に関する論文 (in MIT WPL 62, EL 28-2)について、その音韻論的特徴を見直し、分析の理論的意味について再考したい。
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