2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本ミッション(神奈川・横浜,長崎)における日本語研究資料の基礎的研究
Project/Area Number |
22720184
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
木村 一 東洋大学, 文学部, 講師 (90318303)
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Keywords | 辞書 / 文法書 / 会話書 / 和英語林集成 / ローマ字 / 近世中国語・唐話・白話 / J.C.ヘボン / 宣教師 |
Research Abstract |
幕末に来日した宣教師による日本語研究を日本ミッションという大きな枠組みからとらえなおすことを目的とする。来日極初期の宣教師の相互の連動と連環という視点に立ち,日本ミッションの手による日本語研究資料を中心に据えて,継承と伝播について調査・研究を行った。 本年度は,日本ミッションにおける日本語研究資料の基礎的な調査を行いながら,事象面の連動と連環を明確にするように努めた。 『和英語林集成』について,依拠関係が指摘されている『日葡辞書』(16043-04)と『日仏辞書』(1862-68)からの援用について調査を行った。先行研究は,『和英語林集成』「初版」(1867)を用いたものであるが,その原稿段階ともいえる「手稿」を用いたことで異なりがある。『日葡辞書』の影響はやはり時代的な問題のみならず,日本語学的にも確認できるものであるとの結論に至ったが,継続調査が必要である。 また,辞書の見出し語の最初の文字の比率(語頭文字別分布)を探るため,『和英語林集成』「手稿」と「初版」,『雅俗幼学新書』(1855),『言海』(1891),『日本国語大辞典』(初版・1972)を用いて調査を行った。それぞれの収録語数や見出し語の性格は異なるものの,その比率は,行・段のみならず,個々の語頭文字レベルでもきわめて類似した分布を示した。 さらに,周縁を埋めるため日本語と近世中国語の対訳書と言える『訳通類略』(1713-14)と同書の明治年間本の異同状況を明示したデータベース(約5,100語・約5,500語)を作成した。その上で,収録語数,収録語彙の特徴,参照資料などについてまとめた。
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Research Products
(5 results)