2010 Fiscal Year Annual Research Report
論理的記述の評価ー評価者及び言語の特性に着目してー
Project/Area Number |
22720201
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮島 良子 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 特任講師 (90534404)
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Keywords | 論理的記述 / 評価 / 評価者特性 / 評価過程 / 言語の相 |
Research Abstract |
本研究は、社会科学分野を専門とする日本語学習者による記述文を評価、採点する場合、評価者の特性によっていかなる相違を生じさせるのかを質的に調査し、明らかにすることを目指したものである。評価者の評価過程を見るための実験手法として、英語教育分野の先行研究では、発話思考法を用いて収集した発話プロトコルをコード化して分析する方法がある。これに、さらに、フォローアップインタビューを併用することで、その過程をより明確にすることが可能となると考え、調査方法は、トライアンギュレーション(方法的複眼)を取った。まずは、各評価者が課題に即した答えをどのように想定し、心理的な影響を含め、いかに評価をし、採点へと至ったのかを発話思考法を用いながら評価、採点する実験を行った。そして、同時にまたは録画資料を用いて、その実験を参与観察した。更に、採点後、評価者自身に録画資料を見ながら、発話ができなかった部分の補足説明をしてもらった。その後、半構造化面接法を用いてフォローアップインタビューを行った。別途、質問紙調査も併行して実施した。平成22年度は、上記の実験及び質問紙調査をカンボジア、ベトナム、モンゴル及び日本の日本語教育機関で実施した。実験調査の対象とした教育機関では、社会科学分野の専門日本語教育を行っており、法学講師と日本語講師、母語話者教師と非母語話者教師の協働が求められている。22年度内には得られたデータをほぼ文字化する段階まで修了した。今後、評価者の特性によって評価過程や結果にどのような違いが生じているのか、あるいは生じていないのか、評価過程の実態を詳細に質的に検討する。23年度には分析を進め、論文にまとめていきたい。
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