2011 Fiscal Year Annual Research Report
用法基盤モデルに基づいた日本語のヴォイス表現習得のための基礎的研究
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22720202
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
住田 哲郎 神戸大学, 人文学研究科, 研究員 (70533587)
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Keywords | 用法基盤モデル / ヴォイス / 受動態 / 逆向態 / 映像教材 |
Research Abstract |
本研究は、上級日本語学習者でも運用が困難な日本語ヴォイスに関わる表現を学習者が容易に習得するための映像教材作成に向けた基礎的研究である。平成23年度は、研究実施計画に基づき以下の研究を行った。 (1)現代小説の対訳本(英語・韓国語・中国語)調査 パラレルコーパスとして使用可能な日本の現代小説『博士の愛した数式』『容疑者Xの献身』において日本語のヴォイス表現が韓国語訳・中国語訳でどのように表現されているのかについて調査し、その対応関係を整理してデータベース化した。(英語訳については現在整理中である。) (2)移動動詞及び受身形式の文法化現象の分析 日本語の移動動詞「来る」の文法化現象を分析し、その補助動詞用法テクルと、その他の受動態、逆向態に関わるヴォイス形式(レル・ラレル、テヤル、テアゲル、テクレル、テモラウ)が使用されるメカニズムについて理論化を行った。これに関する主な研究成果は、神戸大学博士論文としてまとめ提出した。 (2011年12月) (3)日本語会話におけるヴォイス表現の調査 どのような会話場面でヴォイス表現が現れるかについてパイロット調査を行った。「不満を述べる場面」や「旅行の思い出を語る場面」など様々な場面にヴォイス表現が使用されることが確認できたが、文脈の特定には至らなかった。これについては今年度も継続して調査を行う予定である。 (4)日本語ヴォイスの習得研究に関する先行研究の整理 主に名古屋外国語大学の田中真理教授の日本語ヴォイスの習得に関する一連の研究を中心にその分析方法や分析結果等を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現代小説の対訳本のデータ入力に予想以上に時間がかかり、また博士論文の執筆にかなりの時間を要したため、予定よりも計画の進行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は可能な限りデータを収集・整理し、これまで2年間の研究成果を踏まえて、当初の研究計画どおり日本語のヴォイス表現習得のための映像教材の試作品を作成し、その効果について検証実験を行う。
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Research Products
(1 results)