2011 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語習得過程における文法項目と動詞の関係-受身文と動詞の関係を中心に-
Project/Area Number |
22720206
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Research Institution | Hiroshima Kokusai Gakuin University |
Principal Investigator |
川崎 千枝見 広島国際学院大学, 工学部, 講師 (70432705)
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Keywords | 受身 / 動詞語彙 / 習得過程 / 第二言語習得 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第二言語としての日本語の習得過程において単一の文法項目(本研究では受身文)内においても動詞によって使用状況や習得過程が異なっているといことの一般化可能性を探ることである。 本研究に先立って行われた縦断的発話コーパス(母語話者との対話)の分析では、受身文で使用される動詞は、受身形以外で用いられることが少なく、主に受身形で使用される動詞(「語彙受身」とする)と他の文法項目でもひろく使用される動詞(「文法受身」とする)に大別できることが示唆された。本研究では、これを量的に確認するための調査として理解調査および、産出調査を実施した。 その結果、理解調査(聴覚呈示された文とイラストの内容が一致するかどうかを判断)において、「語彙受身」では正しい文と誤った文の正答率に差が見られないのに対し、「文法受身」では、一部の語を除き、誤った文の正答率が低く、正しい文も誤った文も同様に正しいと判断する傾向が見られた。縦断的発話コーパスの分析で受身での使用が多く見られた「言う」「聞く」においても理解調査では正解率に差がみられ、縦断的発話コーパスにおける自発的使用との違いが見られた。 本研究ではまた、発話データ収集の効率化を検討するため、LL教室等の設備のない一般教室においてケーブルで接続したICレコーダーとヘッドフォンを使用し、20数名の発話データを一斉収集することを試みた。データ収集効率が上がり、より大きなデータが得られることが分かった。
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