2011 Fiscal Year Annual Research Report
日中異文化交流における葛藤発生メカニズムの解明と介入教育手法の開発
Project/Area Number |
22720214
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥西 有理 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (50448156)
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Keywords | 異文化接触 / 異文化葛藤 / 中国人 / 日本人ホスト / 異文化理解 / 国際交流 / ホスト / 異文化学習 |
Research Abstract |
グローバル化の進展に伴い、日本社会も多くの外国人を受け入れるようになった。多文化化する巨本社会における外国人との異文化接触についての研究はあるが、特定の文化出身者との接触について取り上げその接触上の特徴や葛藤解決手法について検討したものは少ない。本研究は、在日外国人として多数を占め、今後も国際交流やビジネス、観光等多方面での異文化接触が予想される中国出身者と日本人ホストとの異文化接触における葛藤発生メカニズムを明らかにし、教育的アプローチによる葛藤解決手法を示すことを試みるものである。平成22年度から平成23年度にかけては、留学生を中心とする中国系ニューカマーを対象とした、日本人との異文化葛藤について面接調査を実施した。結果は、KJ法を使って整理した上で、以前取得していた日本人ホスト側から見た中国人との異文化葛藤に関するデータを同様に整理したものと比較し、特徴を対比的に分析した。中国人の経験する日本人との異文化葛藤は、礼儀正しさや上下関係、関係性の希薄さ等、日本人的対人関係の持ち方に関するものが中心に構成されていた。また日本人と中国人が互いに葛藤として認識した行動上の特徴として、「ルール依存」VS「人間関係依存」が対照的に抽出された。このような日中間の葛藤の分類にまつわる分析に加え、在日中国人が経験する日本文化との葛藤がどのように変化し、日本社会との折り合いが付けられていくのかについて、そのプロセスを追った分析も実施した。すると、インフォーマントの中国社会に対する姿勢や考え方、あるいは中国社会において確立していた地位が、日本文化適応の「質」に影響を与えているという示唆が得られた。中国出身者と日本人との異文化接触や、彼らの日本社会への適応に関して緻密な分析を行ったことで、日中異文化葛藤の本質が明らかになってきた。これを基に、教育的な解決方法の提案へとつなげていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本人と在日中国人の異文化接触場面に関して面接調査を行い、分析を行った結果、日中異文化接触上の問題の特質が明らかになった。急激に社会変革が進んだ現代中国社会が生み出した文化が、在日中国人の日本社会への適応状況や、日本入との異文化葛藤の質に影響を与えていることが分かり、日中異文化間コミュニケーション理論構築への足掛かりとなるであろうと考えられることから、「順調に進展してる」という自己評価を行わせていただいた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのデータ分析から得られた情報を基に、日中異文化間コミュニケーション理論に関する仮説を形成し、質問紙調査を実施して検証を試みたい。質問紙は、中国での現地調査に加えて、日本での調査も実際したい。得られた教育的示唆を基に、教材を作成することを試みたい。
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